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日レ商関西支部/関レ連の村上與利一氏ら ユニバーサルミュージック常務兼執行役員の喜本孝氏と意見交換 「店側の声を真摯に受け止めたい」喜本常務 [レコード商組合]

日本レコード商業組合関西支部長関西レコード商組合連合会長村上與利一氏と大阪府、兵庫県、和歌山県の各レコード商組合長などが、2011年4月4日、神戸市内でユニバーサルミュージック(UM)喜本孝常務と流通問題について意見交換をした。今年2月にUM社が「ジャズ・クラシック入門シリーズ」の仕入れかけ率を65%にするにあたって、喜本常務がレコード業界紙に「パッケージ販売不振の責任の一端は、販売店の営業努力にもある」と発言したことを受けたもの。

 喜本常務の発言について近畿のレ商組幹部は「業界を改善し、メーカーと販売店がともに成長しようというものである」と趣旨に理解を示すとともに、「もう少し頑張ってみようと思う」といった声も聞かれた。
 しかしながら、パッケージ販売の不振は販売店の営業努力不足にも一因がある、といった点については「UM側のノーコール店への対応などにも改善点がある」といった点が強く指摘されていた。


意見交換会.jpg


 意見交換会は、兵庫県レコード商組合の2010年度総会開始前の2時間余りをかけて開かれた。
 まず喜本常務は「今回の発言はメーカー各社全体の意見ではなく、当社単独のものである」と断ったうえで、世界と我が国のレコード業界が置かれている現状を説明するところから行われた。

 その中で同氏は世界の潮流はパッケージ販売からデジタル(ネット通販、ダウンロード)へとシフトしていることを指摘した上で「もう一度、販売店と手を取り合っていくことを考えないと生き残れない。そこでまず、当社のシェアの高いジャズとクラシックに焦点を当てて発言したのが、2月の記者会見の内容であった」と、発言の経緯を説明した。

 同氏はまた「きょうの会談で解決策が出るとは思っていないが、忌憚のない意見を聞かせてもらうことで、真摯に受け止めたい」と、レコード店の声を取り込んでいく姿勢があることを示した。

― 日銭を稼ぐことにあくせくの毎日 ―


村上氏.jpg◆冒頭の喜本常務の話しを受け、村上日レ商関西支部/関レ連会長 = 写真・左 = は「木を見て森を見ていない感じを受ける。我々、中小のレコード店は自らを、森の中にある熊笹と思っている。栄養分は演歌/歌謡曲で、それを吸収(売り上げる)ことで森の緑を保っている。<パッケージ販売の不振は営業努力のなさにもある>という指摘には反論はしないものの、我々の商売は、1日でも早く在庫を現金に換える、日銭を稼ぐことにあくせくする状態に追い込まれている。これはもう商ではない」と、喜本常務の発言が販売店の実情とかけ離れていることを指摘した。






 また「提案のあった掛け率も、たとえば回転が速い商品は高くしても、何カ月も動かないものは低くするなど、臨機応変に条件設定する必要がある」と取引条件についても逆提案した。

 さらに今回の喜本常務の発言が端を発して「全国各地の単組内で幹部批判までに発展している」といった事実を紹介し、「業界を発展させるはずの発言が、違った方向へと進んでいるのは危険なことだ」とし、今後は「小売り、卸、メーカー、音楽事務所、作詞家作曲家など音楽産業にかかわる主だった人たちを交えた円卓会議を開催し、十分な意見を交わさないと、今回の問題は良い方向へ進まない」と、業界挙げて問題解決をはかる必要があるとした。

― 掛け率面などで歩み寄り ―


喜本氏.jpg◆これら村上氏からの提案について喜本常務 = 写真・右 = が回答した。

 円卓会議に付いては「2年前に京都のJEUGIAの田中義雄会長も出席していただき、経産省の肝いりで需要拡大コンソーシアムを開催した。音楽業界のあり方について議論したが、販売店の課題を充分に議論するには至らなかった。再度、開催して現実的な話しあいを持ちたい」と述べた。







 掛け率問題については「原則的に当社は2週間で1回転するものを発売しているつもりだ。もちろんそこには我々にも販売努力の必要性は出てくると思っている」とした。
 しかし「掛け率を下げても、下げた分だけ売り上げが伸びていないのも事実である。ただ新人の新譜は掛け率を下げることは検討してみたい」などと、販売店に歩み寄りを見せた。

 また<日銭商売>に関連して「外商のような試みを出来ないかと思う。これには当社も商品の委託などサポートをしていく」と、新たなビジネスを模索する必要性を示した。

― 販売の現場を見ずしての提案は理想論に ―


 一方、大阪府レコード商組合角谷寛行組合長は「当店ではUM社の在庫金額比率は取引全社の中でベスト3に入っているが、支払いベースでは下位である。これを解消しないと、喜本氏の言う2週間で1回転という話は絵に描いた餅になってしまう」と、売り場の実情を説明するとともに、担当セールスを訪店させることで「在庫の状態を把握させるべきだ」とした。

 これに対して喜本氏は「店に適した在庫数量があるはずで、それを導入していかないといけないだろう」と、改善する姿勢を見せた。

 京都府レコード商組合清水英司組合長は「クラシック・ジャズ部門の販売のテコ入れは歓迎したいが、これらの商品は現金化までに時間がかかる。短いサイクルで売れるものも、長期在庫しなければならない物も同じ掛け率というのは理解できない」と、村上氏同様に掛け率を商品ごとに変動させることを求めた。

 また和歌山県レコード商組合石井秀幸組合長は「販売店の窓口であるコールセンターに決裁権を持たせるなど機能を充実させてほしい」などといった、日常業務面への改善を求めた。
 これについては他の組合幹部からも多数指摘され、喜本常務は「2、3ヶ月以内に直す」と約束するとともに、 「これまでの発言は撤回するつもりはないが、改善すべき点が数多くあることがわかった」などと述べた。




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シラネアオイ

おはようございます。地震大丈夫ですか?
by シラネアオイ (2011-04-08 09:02) 

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