大月みやこ、神野美伽 新歌舞伎座9月特別公演 「結婚しない女たち ~ 京都室町はんなりハウス ~ 」 [舞台]
フィナーレで「いい日旅立ち」を歌う出演者たち
◆ノンアルコールのワインで酔っぱらうが源氏物語の研究に生涯を捧げる大学教授の大月みやこ、男勝りで正義感の強い興信所のベテラン調査員の神野美伽―。そんな女性たちが住む京都・室町のシェアハウスで突如持ち上がった立ち退き騒動。笑いの中にワクワクドキドキの展開が面白い新歌舞伎座9月特別公演が、2015年9月4日初日の幕を開けた。大月みやこと神野美伽が共演する芝居「結婚しない女たち ~ 京都室町はんなりハウス ~ 」である。ドラマのグランドフィナーレがふたりの歌謡ショーへのイントロと、一風変わった構成を見せる。大月、神野による美空ひばりのメドレーのほか、大月は新曲「愛のかげろう」を熱唱。神野はアルバム「矜持 ~ Pride ~ 」収録の「黒田ブギー」などを披露する。21日まで。
熱唱する大月みやこ(左)と神野美伽
結婚しない女、京都、シェアハウス・・・。今、流行りのキーワードを集めた芝居は、テレビの2時間ドラマを見ているようなスピード感があって、小気味良く展開していく。恋より仕事とキャリアウーマンを装うが、その実はデートに心ときめかし結婚も夢見る女性たちが、この現代劇の主人公たちである。
男の出現に心が揺れる
立ち退き反対に気勢を挙げる4人なのだが
町家を改造したシェアハウスに住む彼女たちが、田村亮が演じる立ち退きを迫る大手建設会社の社員からの恋の囁きに心を乱してしまう。最も男性には無縁と思われた大月演じる和服の大学教授、男性を寄せ付ける素振りも見せない男勝りでトレンチコートが似合う調査員(神野)も、それまでの一致団結しての立ち退き反対運動も投げ捨ててしまう。
新歌舞伎座の特別公演は芝居と歌謡ショーの2部構成で、それぞれが独立しているのが常である。ところが今回は芝居のグランドフィナーレが歌謡ショーのオープニングといった、ちょっと変わった趣向を凝らす。
元宝塚歌劇団の蓮水ゆうや
そのオープニングを任されたのは元宝塚歌劇団・宙組の蓮水ゆうや。「SWEET MEMORIES」を歌い上げると、舞台中央からは大月と神野がせり上がってくる。ふたりの1曲目は島倉千代子の「人生いろいろ」。客席では「 M&M(みやこと美伽)」と書かれた紙を掲げて応援かね観客も。
ふたりは「M&Mと呼ばれるのは初めて」と笑顔。
続いての美空ひばりのメドレーでは、大月が「ある女の詩」で独自の女を表すと、神野はしんみりと「哀愁波止場」を歌う。いずれも聴き応え十分の歌唱に会場もうっとり。メドレーのラストは大月、神野、蓮水の3人で「愛燦燦」。
大月みやこ
それぞれのワンマンコーナーでは、まず神野が代表曲の「男船」「男の海峡」と威勢のいい海の男を歌ったのに続いて、アルバム「矜持 ~ Pride ~ 」の中から「リンゴ追分」「座頭市子守唄」「無法松の一生 ~ 度胸千両入り ~ 」「黒田ブギー」を舞台狭しと駆けて歌い上げた。
それとは対照的に大月は「白い海峡」「女の港」「いのちの海峡」「霧笛の宿」「女の駅」とさまざまな女の世界を披露。極めつけは代表曲の呼び声高い新曲「愛のかげろう」と続く。
神野美伽
神野が「初日から走り過ぎないようにと注意もされましたが、そんなことで加減をする女じゃありません。1日1日エンストをするまで走ります。まだまだ行けますよ」と話すと、大月は「ゆっくりゆっくりとした歩みですが、ふる里のみなさんの声援を励みにここまで来ました。これからも凛とした女の歌を心に届けていきます」と貫禄を見せた。
ステージのラストは再び芝居に戻る。ヨーロッパへ旅立つシェアハウスの仲間を見送る住人たちが顔を揃え「いい日旅立ち」を歌う。まるで宝塚のステージを見せるかのようなフィナーレである。
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