前川清・神野美伽 歌と芝居の新歌舞伎座開場60周年記念特別公演 〈時代〉をテーマにオールディーズから最新楽曲まで のオンステージ スペシャルゲストに松居直美 1部は司馬遼太郎原作「大坂侍」を熱演 [舞台]
◆テイチクエンタテインメントの歌手、前川清とキングレコードの歌手、神野美伽による新歌舞伎座開場60周年記念特別公演が2019年3月3日、期間22日の幕を開けた。1部の芝居「大坂侍 〜恋も忠義も金次第〜 」のラストで神野が「流行歌(はやりうた)も変わりましたんや」と話すシーンのように、2部の2人によるオンステージでは60年代の懐かしいオールディーズからそれぞれの新曲など、新しい波を感じさせる構成で聴かせた。3月24日まで。
初日の緊張を楽しんだ前川清(右)と神野美伽
1部の芝居「大坂侍」(原作・司馬遼太郎、脚本・岡本さとる)には、前川清と神野美伽にスペシャルゲストの松居直美、おりも政夫などが熱演。舞台は幕末から明治維新にかけての大坂と江戸。前川演じる大坂の河川を取り締まる川同心の鳥居又七と、神野による大店の娘お勢との恋物語であるが、<商工農士>と言われる大坂における武士と合理的な商人の姿も描いている。
新歌舞伎座への出演は毎年1回と定番になっている前川は、毎回、飄々とした演技で観客を笑わせることに苦心する。今までは脚本を壊すことで、そこに笑いを求めるのを楽しみで演ってきたという彼だが「今回は(司馬遼太郎の)小説が原作でもあって、壊すのが難しいですね。初日はいつも緊張します。観客の反応を見ながら、回を重ねるごとに、面白くしていきたい」と期待を持たせた。
神野は去年末の足の手術後の、わずかに残る痛みを気遣いながらのステージだった。それでも「大道具さんに階段の段差を低くしてもらいました」など、周囲の多くが彼女が少しでも楽に動けるように計らっての初日だった。シャリーンと花道の幕が開いて飛び出した彼女は「初日はいつにも増して特別ですが、足の不安には安心し、すごく楽しめました。ホッとした気持ちです。精一杯、演じて、歌っていきたいです」と胸をなでおろしていた。
2人とも初日ならではの緊張感を持ちながらも、十分に楽しんでのスタートであったようである。
■緊張感いっぱいの初日公演
芝居のクライマックス、鳥居は大坂を離れて、官軍と戦う彰義隊に身を投じるが、戦に敗れて命からがら逃げ延びる。そこで大坂から江戸まで彼を追いかけて来たお勢に出会う。「流行歌も変わりました」と、 お勢は ♪ 宮さん宮さん 〜 と「トコトンヤレ節」を歌って、時代が変わったことを伝える。
この時代の変化は、今回の芝居と歌謡ショーのテーマでもある。
2部のオンステージでは「ハートブレイク ホテル」「スタンド・バイ・ミー」など、多くの観客にも馴染み深い洋楽オールディーズを、いずれも前川のカバーアルバムの中から彼と神野が交互に歌う。従来の歌謡ショーとは趣を少し変えたオープニングである。
それに続いて前川は、ソロシンガーになってからのヒット曲「雪列車」を披露するが、その作品以来、36年ぶりという糸井重里プロデュースの新曲「初恋 Love in fall」を聴かせる。デビュー50年の彼の新たな挑戦楽曲である。
クールファイブ時代の「そして、神戸」などのヒットメドレーでもファンを喜ばせた前川は、そこには「中の島ブルース」も。しっとりと歌うのを得意とする前川にとって、この1曲は「歌い辛くて、今でも緊張する」という<嫌いな楽曲>なのである。初日の出来栄えは「まあまあでした」と前川。
一方の神野は、19年2月にリリースしたばかりの「愛のワルツ」を、カップリングの「神さまのプレゼント」「男船」と共に披露した。
メインの「愛のーー」は荒木とよひさ作詞、弦哲也作曲の夫婦をテーマにした作品。「(荒木さんと)結婚していた時には、良く 『君は一言多いんだよ』と言われましたが、歌詞にはその言葉がそのまま出てきます」と笑ってみてた。「神さまのーー」は「今の私の気持ちを1番に表現した作品」だという。
都はるみのヒットメドレーや迫力ある「無法松の一生」も歌った。
これより先、スペシャルゲストの松居直美は芝居への出演と共に、歌謡ショーでは石川さゆりの「津軽海峡冬景色」などをカバー。客席に降りるなどして、観客を楽しませていた。
ラストは客席へ手ぬぐいまき
ラストは、躍動感あるオープニングに反して、前川と神野の2人で中島みゆきの「時代」を歌った。少々おとなし目の選曲ながら、時代は変わりつつあることを伝えるものだった。
[前川清 オフィシャルサイト]
www.maekiyo.com
[神野美伽 オフィシャルサイト]
http://www.shinno-mika.com/
初日の緊張を楽しんだ前川清(右)と神野美伽
1部の芝居「大坂侍」(原作・司馬遼太郎、脚本・岡本さとる)には、前川清と神野美伽にスペシャルゲストの松居直美、おりも政夫などが熱演。舞台は幕末から明治維新にかけての大坂と江戸。前川演じる大坂の河川を取り締まる川同心の鳥居又七と、神野による大店の娘お勢との恋物語であるが、<商工農士>と言われる大坂における武士と合理的な商人の姿も描いている。
新歌舞伎座への出演は毎年1回と定番になっている前川は、毎回、飄々とした演技で観客を笑わせることに苦心する。今までは脚本を壊すことで、そこに笑いを求めるのを楽しみで演ってきたという彼だが「今回は(司馬遼太郎の)小説が原作でもあって、壊すのが難しいですね。初日はいつも緊張します。観客の反応を見ながら、回を重ねるごとに、面白くしていきたい」と期待を持たせた。
神野は去年末の足の手術後の、わずかに残る痛みを気遣いながらのステージだった。それでも「大道具さんに階段の段差を低くしてもらいました」など、周囲の多くが彼女が少しでも楽に動けるように計らっての初日だった。シャリーンと花道の幕が開いて飛び出した彼女は「初日はいつにも増して特別ですが、足の不安には安心し、すごく楽しめました。ホッとした気持ちです。精一杯、演じて、歌っていきたいです」と胸をなでおろしていた。
2人とも初日ならではの緊張感を持ちながらも、十分に楽しんでのスタートであったようである。
■緊張感いっぱいの初日公演
芝居のクライマックス、鳥居は大坂を離れて、官軍と戦う彰義隊に身を投じるが、戦に敗れて命からがら逃げ延びる。そこで大坂から江戸まで彼を追いかけて来たお勢に出会う。「流行歌も変わりました」と、 お勢は ♪ 宮さん宮さん 〜 と「トコトンヤレ節」を歌って、時代が変わったことを伝える。
この時代の変化は、今回の芝居と歌謡ショーのテーマでもある。
2部のオンステージでは「ハートブレイク ホテル」「スタンド・バイ・ミー」など、多くの観客にも馴染み深い洋楽オールディーズを、いずれも前川のカバーアルバムの中から彼と神野が交互に歌う。従来の歌謡ショーとは趣を少し変えたオープニングである。
それに続いて前川は、ソロシンガーになってからのヒット曲「雪列車」を披露するが、その作品以来、36年ぶりという糸井重里プロデュースの新曲「初恋 Love in fall」を聴かせる。デビュー50年の彼の新たな挑戦楽曲である。
クールファイブ時代の「そして、神戸」などのヒットメドレーでもファンを喜ばせた前川は、そこには「中の島ブルース」も。しっとりと歌うのを得意とする前川にとって、この1曲は「歌い辛くて、今でも緊張する」という<嫌いな楽曲>なのである。初日の出来栄えは「まあまあでした」と前川。
一方の神野は、19年2月にリリースしたばかりの「愛のワルツ」を、カップリングの「神さまのプレゼント」「男船」と共に披露した。
メインの「愛のーー」は荒木とよひさ作詞、弦哲也作曲の夫婦をテーマにした作品。「(荒木さんと)結婚していた時には、良く 『君は一言多いんだよ』と言われましたが、歌詞にはその言葉がそのまま出てきます」と笑ってみてた。「神さまのーー」は「今の私の気持ちを1番に表現した作品」だという。
都はるみのヒットメドレーや迫力ある「無法松の一生」も歌った。
これより先、スペシャルゲストの松居直美は芝居への出演と共に、歌謡ショーでは石川さゆりの「津軽海峡冬景色」などをカバー。客席に降りるなどして、観客を楽しませていた。
ラストは客席へ手ぬぐいまき
ラストは、躍動感あるオープニングに反して、前川と神野の2人で中島みゆきの「時代」を歌った。少々おとなし目の選曲ながら、時代は変わりつつあることを伝えるものだった。
[前川清 オフィシャルサイト]
www.maekiyo.com
[神野美伽 オフィシャルサイト]
http://www.shinno-mika.com/