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心に残る歌 「心いくとせ」(三浦潤平) [新譜]

◆年間数多く発売される演歌・歌謡曲の新曲の中でも、もう一度聴きたい歌、心に残る歌というと、決して多くはないだろう。そうした中で今年、極めて印象に残る1曲が三浦潤平(テイチク)という無名の新人歌手のメジャーデビューシングル「心いくとせ」である。

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三浦潤平の「心いくとせ」のCDジャケット


 君を愛した時から、もうどれほどの年月が過ぎてしまったのだろうか。振り返ってみたって仕方のない事だけど。
そんな男の心情を歌う「心いくとせ」(作詞・岩井薫、作曲・田尾将実、編曲・杉山ユカリ)は、今までムード歌謡を得意としてきた三浦潤平が、低音で静かに語りかける。

 これが今、多くの人の心を揺さぶっている。若者を中心にスマートフォンで利用されている定額制音楽サービス(サブスク)のひとつ、「Spotify」が提供するプレイリスト〈令和に聴く演歌・歌謡曲10選〉に9月末、「心いくとせ」が選ばれている。

 民間の調査機関によると、Spotifyの利用者は35歳未満の利用者が55.9%を占め、男女比では女性が半数を上回るといわれている。低迷する演歌・歌謡曲にとって、今後へ向けての明るい話題でもあろう。

 三浦は京都府宇治市出身で、2013年にインディーズレーベルから発売した「神戸・・・ひとり / 函館から東京へ・・・」で歌手デビューしている。
 今年8月に三浦潤平に改名して、テイチクレコードから「心いくとせ」でメジャーデビューを果たした。
 年齢も50代であり、この歌の心を表現するには最適な年齢なのかもしれない。テイチクのホームページでも「遅咲きの実力派」と書かれるほどで、期待をうかがわせる。

 9月に大阪市内で開かれた「心いくとせ」の新曲発表会で、彼の母親の三浦和枝さんは「3歳位から『骨まで愛して』(城卓矢)を歌っていた歌好きな息子でした。メジャーデビューまで9年かかりましたが、これからが本格的な歌手デビューです」と話していた。

 3歳で歌ったのが「骨まで愛して」であったように、三浦の歌の原点は低音を響かせるムード歌謡であった。「心いくとせ」では、発声にソフトさを加味して、今までと違って、まったく嫌味のない自然な低音を聴かせる。

 これを作曲した田尾将実も「僕が意図した通りに歌ってくれている」と、彼の歌唱を最大限に評価するほどで、田尾が来年に東京都内で開催を予定するライブに出演を求めたほどである。

 ただ残念なのは発売が8月なのに、まだ十分なプロモーションが行われていないのか、沢山の人たちが聴く機会が少ないことだ。
 音楽はまず聴くことから始まるわけで、その第1歩が欠けているのは多くの音楽ファンにとっては大きな損失であろう。








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