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平成生まれの若者が演歌を聴き、歌手にインタビューした  演歌はオシャレだった !!  大阪アミューズメントメディア専門学校 [インタビュー]

◆小説家を目指す若者たちが演歌のライブを見るとどのように感じるのか-。
 そんなことが知りたかった。

 大阪アミューズメントメディア専門学校ノベルス学科の学生たちが実習の一環として、2017年5月17日に大阪・心斎橋のライブハウス、BIG CATで開かれた第249回大阪発・流行歌ライブに出演した永井みゆき、川崎修二、塩乃華織、羽山みずきの4人の歌手を取材した。ステージで歌う姿を見て、歌に耳を傾け、楽屋などで本人たちへインタビューもした。

大阪アミューズメントメディア専門学校ノベルス学科の学生・集合写真.jpg
演歌歌手のインタビューに挑んだ学生たち
前列左から梅田愛衣、渡邊真美、高橋友香、三堂真由子、渡辺崇嗣。2列目左から土井唯子、芦田紗里奈、湯前綾華、池田衛、林奎吾。3列目左から山下海、近藤樹、小西智裕、鈴木貴瑛。(敬称略)

 音楽と言えばJPOPの彼らにとって、演歌は今まで存在していないのと同じくらいに未知のものであった。その彼らが初めて生歌を聴き、それを歌う歌手から直接話を聞くと、演歌への想いも変わった。それを文章にした。

 取材に参加した学生は12人。歌手へのインタビューは4つの班に分けて行い、12人それぞれが記事を書いた。その中から歌手1人につき1作品を紹介する。
 まずはテイチクエンタテインメントの永井みゆきと日本クラウンの塩乃華織のインタビュー記事から。それぞれノベルス学科1年の芦田紗里奈さんと三堂真由子さんが書いた。記事はほぼ原文のままである。


■■心を惹かれ音楽アプリで再度、曲を聴きなおした  芦田紗里奈(永井みゆきを取材) =集合写真・2列目左から2人目

永井みゆき.jpg 私は演歌のことは分からず、今までもあまり触れてきませんでした。歌番組などで聴くことはありますが、やはり意味を理解できず興味が持てずにいました。ところが今回「大阪発・流行歌ライブ」を聴きに行って、初めて演歌に心を惹かれました。

 私がインタビューさせて頂いた永井みゆきさん = 写真・右 = は、綺麗に響き渡る高い声で歌を届ける方だと思いました。興味がなかったはずなのに、気が付けば、永井さんの歌に引き込まれて聴き入っていました。
 更に、会場に響き渡っている永井さんの声が忘れられず、家に帰ってから音楽アプリで永井さんの曲を調べて聴きなおしたくらいです。永井さんの歌で演歌に少し興味が出てきたので、これからは歌番組やNHK紅白歌合戦などで演歌が流れてきたときは、耳を傾けて聴いてみようと思いました。

 今回のライブで永井さんは「蛇の目小紋の女」「大阪すずめ」「ふるさと館山」「石狩挽歌」「地吹雪情話」の5曲を歌っていましたが、この中でいま、一番思い入れのある曲は「蛇の目小紋の女」だそうです。
 「蛇の目小紋の女」は永井さんの新曲で、蛇の目傘を差した小紋の着物を着ている女性を主人公にした純愛がテーマの曲。永井さんの恩師、たかたかし氏が書いた曲で、レコーディングのときはいつも以上に緊張したそうです。永井さんは「蛇の目小紋の女」を歌うにあたって「新たな代表曲になるように頑張りたい」と話していました。

 演歌を歌っているときは迫力のある永井さんですが、プライベートでは祭りとお酒が好きという面も持ち合わせている女性でした。大阪府岸和田市出身で、子供の頃はよく山に遊びに行ったり、川で釣りをしたりしていたそうです。その経験は、演歌を歌うときに歌詞の情景を想像しやすく、表現するときにもプラスになっているそうです。

 一番好きな祭りはもちろん「だんじり」。大好きなお酒も「だんじり」。焼酎ならば2日で一升瓶を空けてしまうほど。理想の男性は「だんじり」を曳ける人だとも。

 最後に、演歌を歌うときに意識していることを聞くと「詩を大切にすること」と教えてくれました。そして、若い世代の人達にも演歌に触れてもらえるように「幅広い世代を意識している」そうです。


■■見える景色が180度変わった演歌  三堂真由子(塩乃華織を取材) =集合写真・前列右から2人目

塩乃華織.jpg 2017年5月17日に第249回「大阪・流行歌ライブ」が行われた。
 塩乃華織さん = 写真・左 = は今年2月22日に発売された新曲「赤い橋」を含めた5曲を歌い上げた。

 約1年ぶりとなる新曲「赤い橋」は作詩を担当するたきのえいじ氏の故郷である愛媛県大洲に実際にかかる「長浜大橋」をモチーフにしている。夢を追いかけて故郷を立つ好きな男性についていきたいけど追いかけきれずに故郷でずっと待ちつづける、哀愁が醸し出される1曲となっている。

 「赤い橋」を歌うときにどのようなことに気をつけているのかを訊ねると「本当は好きな男性と共についていきたいけれども、故郷で待つことにした女性の切なさを歌っています。ですが身を引いたその彼女の心の強さも出るように心がけています。もし、わたしが彼女だったとしても、きっと相手のことを思って身を引きますね。そんなところもシンクロして、よりいっそう気持ちをこめて歌えるんですよ」と、朗らかに笑った。


 だからこそ「赤い橋」を聴いたときに切ないだけではなく、胸を打ち震えさせることができるのだ。

 「赤い橋」は彼女にとって初のご当地ソングとなる。そのカップリング曲は「鴨川なさけ」である。京都の鴨川はゆったりと流れているが、歌はそれとは対照的にロッカバラードに恋を表現している。

 オリジナル曲を歌うときのこだわりを聞いた。
 「それぞれの曲で主人公の気持ちになって、悲しい曲でも同じような歌いかたにならないように努めています。そのなかで自分に合った型を見つけるようにしていますね」。

 オリジナル曲で思い入れが一番強い曲は何かも尋ねた。
 塩乃さんは「ん~、むずかしいですねぇ……。ファンの人には『ほっといてんか あんな阿呆』がわたしによく似合っている、フィットしていると言ってもらっています。けれども『イエスタディにつつまれて』がファン層を広げた、きっかけの曲でもあります。他の曲も同じで、それぞれにいろんな形で思い入れがあります」と応えてくれた。

 彼女は1曲1曲に真摯に向き合い、探求しつづけるストイックさがあるからこそ、作品の1つひとつに独自の顔が生まれるのだろう。

 そんな彼女が演歌以外のジャンルで挑戦したいものはあるのだろうか?
 「あくまでも演歌を軸としてやっていきたいです。ただ演歌を歌うから演歌しか聴かないということはないですね。そうすると視野が狭くなって、表現が単調になるかもしれないので。普段は違うジャンルを積極的に聴いて刺激を受けることで、曲により深みが出るようにしています」。

 彼女は趣味でも旅行や、たこ焼きの食べ歩き、御朱印集めなど、自分から外の世界へ向かっている。そういうふうに周囲から新たな感覚を奮い起こしているからこそ、彼女の曲はたくさんの表情を見せ、聴く人を魅了するのだ。

■積み重ねの大切さ

 今回、私は初めて「生の演歌」というものを聴いた。それまで私にとって「演歌」は正直、たまに祖父母の家にお邪魔したときにテレビから流れてくる、「どこか古めかしい、なんとなく地味な印象の曲」というものでしかなかった。嫌いというわけではないが、自分から進んで聴こうと思ったことはなかった。
 「生の演歌」を聴き、「古めかしくて地味な曲」というイメージは一瞬で吹き飛ばされた。

 普段聴きなれているJ‐POPとはまったく勝手が違っていた。曲調はもちろんだが、発声も、表現も、気迫も……。私の知らなかった世界がそこにあった。
 古めかしいと思っていたメロディも、むしろ飾り気のないストレートな情のように感じ取った。なんか地味だと感じていた歌詞も、あらためて見つめてみると胸を突くほどオシャレだった。
 見える景色は180度変わった。

 歌手の方々の話を聞いていると、総じて「縁」を大切にしていた。それは歌手の方だけではない。今回の取材に際して私たちを快く受け入れてくださった、浪花演歌倶楽部をはじめとするスタッフの方々も「縁」をとても大事にしていた。
 1人ひとりとの出会いを大切にするというのは、簡単に見えて、案外難しい。
 地道なことを積み重ねることの重要さを学んだ。
 私も、少しずつでも意識していこうと思う。まずは目の前にあるこの記事から。


[大阪アミューズメントメディア専門学校]
http://www.amg.ac.jp/
[同ノベルス学科ブログ]
http://www.amg.ac.jp/blog/novels/2653.html



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