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入山アキ子、9月9日に新曲「月に笑う蝶」 どん底から這い上がるパワーみなぎらせる  大阪で初披露 [インタビュー]

入山アキ子2.jpg◆テイチクエンタテインメントの歌手、入山アキ子が2020年8月23日に大阪市内で約半年ぶりにステージに立ち、9月9日にリリースする11枚目のシングル「月に笑う蝶」を、初めて観客の前で披露した。このところ新ジャンルに意欲的に挑戦している彼女は今回、この楽曲で「どん底から舞い上がろうとする人の力」(入山)を表現する。シングル表題曲はこれが初めてという作詞・作曲家の緑子の詞に大谷明裕が曲を書いた。











入山アキ子・月に笑う調.jpg 「暗い底辺で苦しむ人を支えるように、まるで作家五木寛之の小説のような楽曲なのです」
 入山アキ子「月に笑う蝶」をこのように説明する。
 作詞は緑子というニューフェイス。かつて入山が浜博也(テイチク)とデュエットした楽曲「雨よ許して」の作詞・作曲を手がけたのが、入山にとっては初めての作品であったという。
 ところがこの彼女、もともとは歌手であった。本来なら必要もない辛く耐え難い出来事から、1年ほどで歌うことをやめている。以来、作詞・作曲の道へと方向転換したわけだが、その頃から入山のために書きためた作品をテイチクに持ち込んでいた。「月に笑う蝶」はその1曲なのである。

 ♪ どうせどん底 舞うしかないさ 〜
 暗くておどろおどろしい詞の世界である。売れない歌手だった緑子の辛い実体験をもとに書かれているという。希望も絶たれ、 底辺でうごめく自分を蝶に例えている。
 あまりの暗さに採用するにはためらう声もあったが、最後の ♪ 高く 高く あぁ・・・舞い上がれ 〜 と自らを鼓舞し、暗さの中にも一条の光を感じさせるような力が湧いてくる詞に、制作スタッフからゴーサインが出た。

 そんな詞に大谷がスローなワルツのメロディーで曲をつけ、入山がしっとりと歌うと、これぞ<アキちゃん>と言わんばかりの怨歌に仕上がっている。

■重なる自らの辛い体験

 実は入山自身にもこの歌と共通する辛い体験がある。かつて父親が連帯保証人になったことから、借金を抱えて失踪するという、一家を揺るがす出来事があった。まだ子供だった入山はこれによって、父親が戻るまでの小中高校の約10年間、母子家庭で育ったのである。
 母親は朝5時半に起きて、入山たち子供を育てるために、昼夜となく働き通しだったという。
 入山は「弟と自分の弁当を作って、毎朝6時半には家を出て、1時間半をかけて学校へ行く毎日でしたから、大学へ進学するゆとりもありませんでした」と振り返る。

入山アキ子.jpg
半年ぶりにステージ歌う入山(大阪・太閤園)

 結局、入学金や授業料がいらないばかりか、毎月、学生手当てとして給与が支給される防衛医大看護学院(埼玉県所沢市)へ進み、看護師の道を選ぶことになったのだが、これが歌との出会いをもたらす。謂わばどん底から掴んだ歌手の道であった。
 彼女の独立独歩の気丈さと優しさは、こうした経験から培われたものである。

 前後するが、山口市にある県立山口中央高校3年の時、学校の放送部に所属していた入山は、NHK主催の放送コンクールで、前年に続いて2年連続で山口県代表に選ばれて全国大会に出場している。
「自ら選んだ文章を朗読するのですが、この時にテンポなど話し方のコツを教わりました」と入山。

 この時の優秀な成績が評価されてNHK山口放送局からアナウンサーとして誘われている。しかし親の反対もあって、それは断念した。ところがこの時の経験は、今年3月から毎日、YouTubeで配信する、1日の終わりにファンに送るメッセージ「入山アキ子のつれづれ日記」での、安らぎを感じさせる心和む語りに現れているのである。

 2度目の県代表になった時に朗読の素材に選んだのは、恥の多い生涯を送って来ましたー、で始まる太宰治の「人間失格」であった。
 どこか「月に舞う蝶」に通じる、やはり暗い作品であるから不思議な縁を感じさせる。

■笑顔を信じて

 一方、対照的なのが、カップリング曲「笑顔の花が咲くように」で、♪ 春は必ず 来ると信じて~ といった歌詞には、入山の「みんなで笑顔になりたい」という信条を盛り込んだ。入山本人が作詞しもので、自身が作詞したのは、これが2作目である。
 これを歌う彼女の優しい歌声は、今まで全国で巡り逢った人たちを笑顔にしてくれるはずである。



 入山は2008年にテイチクエンタテインメントから歌手デビューしているが、ふる里山口県美祢市が平成の大合併で誕生した年でもある。新たなスタートを記念して同市は、市役所近くの厚狭川河川敷に市の花である桜の木の植樹祭を行なっている。
 入山もこの時、一緒に1本の桜を植えたが、歌手としての成長に合わせるかのように、この<入山アキ子桜>はひと際大きく育っているという。

 「毎年、桜の季節にはここへ行っているんですが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大もあって行けませんでした。でも地元のファンの方たちによる手入れのお陰で大きく育ち、今年もきれいな花を咲かせていました」

 一歩 一歩 歩き続ける入山のように、笑顔の花なのである。


[入山アキ子 オフィシャルサイト]
http://xn--cckwa042wikihmb.jp/
[入山アキ子 テイチクエンタテインメント]
http://www.teichiku.co.jp/teichiku/artist/iriyama/






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