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木下結子、還暦+1で ・・・いいこと あるって 思わなきゃ [インタビュー]

「ノラ」などで知られる歌手、木下結子は去年、還暦を迎えたのを機に原点回帰を期して、デビュー曲「放されて」のアンサーソングとも言える「泣いてもええやろ」(ホリデージャパン)を出した。ところが年初からの、世界中を巻き込んだ新型コロナ騒動の煽りを受けて、予定していた還暦ライブを取り止めた。しかも思うように新曲をファンに届けることもできないでいることが、自身の心のうちをヤキモキとさせるが、今秋からは同じレコード会社の先輩歌手とのライブや久しぶりの東京ワンマンライブ開催を計画するなど、大好きな歌「ウヰスキー」の歌詞のように、♬ いいこと あるって 思わなきゃ 〜 と、前を見続ける彼女にコロナ下における想いを聞いた。


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バイクにまたがって、嫌なことも一緒にぶっ飛ばすぜーと意気込みを見せる


ー 私たちは今、歴史的に大変な時の中にいます。8月4日に61歳の誕生日を迎えた今、まずは今年前半を振り返っていただきたいのですが。

木下 今年前半は去年以上に何もできませんでした。60歳の誕生日から今日まで、今まで生きてきた中でこんなに短く感じた時はありませんでした。決して充実した時間を過ごした訳でもないのにですよ。果たしてこれでいいのか、なんて思っていますが、焦っても仕方がないですね。
 孤独とか空虚はそれほど感じませんでした。それは人の気持ちを温かく感じていたからかもしれません。会えない時間が長かったのに、SNSを通じて励まされてきました。歌い手として活動できる時間は少なかったのに、お客さんとの間の熱が冷めずにいられるものだと驚きでした。
 これから先、まだ先は見えませんが、不思議な事にあまり寂しいといった感情もないんです。

ー 長年にわたってどこにもに属さないフリーでやってこられて、去年は大阪の音楽事務所と提携をされました。

木下 1人でもがいても何もできない訳で、それは仲間と力を合わせて少しでも楽しい時間を過ごそうと思ったからです。最初は忘れられてしまったらどうしよう、歌えなくなったらどうしよう、と思っていたのに、お陰でそんな事は微塵の感じなくなりました。
 世の中は悲しくて辛い時なのに、こんなに笑っていていいのかな、と思うほどです。笑顔の多い、楽しい時間を過ごせています。

ー コロナ下でレコード会社を移籍されましたね。

木下 レコード会社を移籍して心機一転やり直すぞ、といったのに動けなくなりました。でも、動けるまでじっとしているのではなく、動けなくても何かを企画して、やりましょうと声をかけてもらったことによって、やる気を出させてもらいました。
 またメジャー歌手とプライベート盤歌手が区別なく、みんな歌いたいし、寂しく辛いという気持ちは同じで、それぞれに境目があるとは思えなくなりました。ベテランであっても新人でも、また音響・照明などイベントスタッフさんも、その気持ちは誰もが同じなんですね。コロナがあったればこそ、感じるようになったことかもしれません。またひとつ成長させてもらいました。

ー 還暦の年と、その次の年である+1年はコロナにしてやられた2年近くでしたが、なにか気持ちの変化はありましたか。

木下 コロナは多くのことを気づかせてくれました。例えば今までは車ばかりに乗って、歩くことはあまりしませんでしたが、健康のために歩くことを心がけるようになりました。地下鉄の2駅3駅を歩くことは何とも思わないようになりました。良いこともあったと思わないことには辛すぎますよね。仕事の回数は減り、会えないひとの数も多くなりましたものの、へこんだとか立ち直れないようになったことはなかったですね。

ー コロナ前まで定期開催されていたchu −chu−ライブは休止中ですが、復活させてほしいという声もあります。

木下 できるのであればすぐにでも再開したいですが、これまで会場として使わせてもらっていたカラオケ喫茶店などが営業できない状態にあります。お昼にでもと考えられるのですが、外出を控えているお客さんも多いので、現状では難しいですね。
 そのような中、chu −chu−ライブのパートナーである、ギタリストの井上善日居さんとYouTubeで配信するライブも始めています。インターネットラジオにも出演させてもらっていますが、以前よりもリスナーとのつながりが強くなった、と感じています。

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今秋からビッグライブが相次ぐ

ー 11月には東京ライブも行われるそうですね。

木下 毎年、東京でワンマンライブを開いてきましたが、去年は中止しました。今年は11月27日に開催を目指して準備を進めています。大阪でも9月26日にホリデージャパン主催のライブが淀川区十三のライブハウス、246ライブハウスGABU(ガブ)で行われます。
 40年を超えるキャリアのニックニューサ(田中収)さん、原田ヒロシさんと予定していますが、私が1番若手というベテラン3人によるライブです。すごく楽しみで、勉強の場にもなります。
 この時期、イベントを行うのは確かにリスクもありますが、やらなければ止まってしまいますから、やることの意義は大きいと思います。楽しみがあることは、自分の気が上がります。ええことあるかもしれん、と前を向かないといけませんね。

ー 今年出演された歌謡ショーでもそうですが、このところ「ウヰスキー」というオリジナル曲をよく歌われますね。

木下 新型コロナが流行り出してから、改めて心にズシンとくるようになった1曲です。私自身の中では大切な新曲と、誰もが知ってくれていて聴きたいと言ってくれる「ノラ」の次にくるような存在になっています。
 この歌は男と女を歌っていますが、いいことあるって思わなきゃ〜というフレーズが、今の世の中にあって、自分で歌いながら勇気づけられています。それを聴いてもらえる人たちにも伝わればいいな、と思っています。改めて、いい歌をもらった、と感謝しています。

ー 今年後半からの意気込みを聞かせてください。

木下 9月でデビュー38年目に入る歌手生活の中で、色んなことを乗り越えてきたのに、コロナで(歌手を)辞めますというのもアホらしい、と思います。こんなことで負けたくないです。

写真の無断使用はお断りします。


[木下結子 オフィシャルサイト]
http://nora-yuiko.jugem.jp/
[木下結子 ホリデージャパン]
http://www.holiday-japan.co.jp/artist_kinoshita_yuiko.html








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