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「通天閣の子守唄」 冷コーが生きる新世界・通天閣  第15回歌を歩く [イベント]

「通天閣の子守唄」は、大月みやこさん(キングレコード)が、デビュー7年目の1970年に出したシングルレコードである。「歌を歩く」で通天閣を訪ねるのに際して、この歌をテーマ曲に選んだ。
 かつて大月さんへのインタビューで、この歌が好きだと言ったことがある。その後、大阪の新歌舞伎座でのコンサートで歌ってもらって感動したことがあるが、一般的にはあまり知られていない楽曲だろう。

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大月みやこさんのレコード「通天閣の子守唄」


 しかし金井美佐さんが書いた詞には ♪通天閣高い アメリカ見える  そんなもん嘘や 淡路島ぐらいや  いっぺん登ってみたい お金が高い~ とある。哀愁が漂いながらも、どことなく笑えるのである。今、通天閣の展望台に上がるには900円~1200円を支払わなければならず、今もやはり「高い」ことに変わりはない。
 真田丸跡を後にして、天王寺七坂で子供のように登り降りした「歌を歩く」のメンバーは、この後、歌の舞台となった通天閣がある新世界を目指した。

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通天閣は今も昔も大阪の看板

 歌で背中に背負うのは弟か、それとも妹であろうか、お母ちゃんは死んでいない。働いているお父ちゃんの帰りを待って幼子に子守歌を聴かせているのはまだ小さな姉であろう。 時代は昭和。串カツが誕生したのは昭和4年、新世界であったとされている。しかも歌の3番では、♪ええ匂いしてる 串カツ5円~ と歌っているから、この歌の時代は恐らく戦前であろう。

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通天閣の真下で見られる天井画

 現在では串カツの値段も上がって100円から200円といったところが平均的であろうが、新世界には今なお〈昭和〉の空気が漂っているのである。

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昭和なメニューが揃っている喫茶店

 通天閣からさほど遠くない所に1軒の喫茶店がある。店の窓ガラスには、今では死語になってしまった「冷コー」「レスカ」といった懐かしい文字が書かれた張り紙が見られる。それに釣られるように店に入った。

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懐かしいクリーソー(クリームソーダ―)

 Sさんはレスカを頼んで酸っぱさに顔を歪めていたが、僕はクリームソーダを注文した。もちろん昭和風に言えば「クリソーひとつ」なのである。(了)








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