◆今年も大詰め。2011(平成23)年が、すぐそこまで顔を覗かせている今、大阪のCDショップの店頭では、いつもの年末には見られない商品の動きが出ているようだ。

 「年末になって<俵星玄蕃>のCDが売れているんですよ」
 大阪・十三の恵比須堂では、例年にない売れ行きに驚き顔だ。



 売れているのは、やはり三波春夫の長編歌謡浪曲「元禄名槍譜 俵星玄蕃」(テイチクエンタテインメント) = 写真・上 = 。俵星玄蕃と言えば赤穂浪士である。これを歌うのは、三波しかいないだろう。
 「売れている理由は分からないのですが、指名買いしていくお客さんが増えています」


 しかし、この動きは三波ファンだけのものではないようだ。
 島津亜矢のアルバム「亜矢・三波春夫を唄う」(同) = 写真・右 = も売れているそうだ。
 このアルバムには同じ赤穂浪士の赤埴重賢(源蔵)をモデルにした浪曲の主人公、赤垣源蔵を歌った「元禄花の兄弟 赤垣源蔵」も収録されているから、赤穂浪士ファンにはお買い得版だ。





 不景気の年は忠臣蔵が流行るといわれているが、「俵星玄蕃」のような人情ものを聴いて社会へのうっ憤を晴らそうというのであれば、あまりにも出来過ぎたストーリー。
 三波春夫は「お客様は神様です」と言ったけれど、売れない時に指名買いしてくれるお客はまさに<神様>である。

 今、映画「最後の忠臣蔵」が上映されているが、これは赤穂浪士の生き残りである寺坂吉右衛門にスポットを当てた作品。俵星玄蕃が登場するようなドラマとは少し趣を異にしている。でも、忠臣蔵は年末になると日本人の心をときめかせる人情ドラマであることは違いない。
 しかも殊のほか人情に厚い大阪の町ならではの、年末の傾向と言えそうだ。



[元禄名槍譜 俵星玄蕃を歌う島津亜矢]
http://1999-malechoirpopeye.blog.so-net.ne.jp/2009-10-09