◆日本レコード協会がまとめた2010年1月から11月までの音楽ソフト(オーディオレコードと音楽ビデオの合計)の総生産金額は2572億円で前年同期比88%だった。09年(1~12月)は対前年比87%の3165億円であり、連続しての大幅減少である。

 10年(1月―11月)のオーディオレコードは数量で1億9363万枚、金額で2059億円。対前年比は、それぞれ99%、89%と、いずれも前年を下回っている。内訳は、12cmCDアルバムが数量で対前年74%、金額で同82%、CDシングルは数量で対前年112%、金額で同109%。
 邦洋別では、金額ベースで邦楽が対前年94%、洋楽が同72%。邦楽の比率は82%で、依然、邦高洋低が続いている。

◆このようにパッケージ販売が低迷する状況の中でCDショップは、毎月、前年実績の売上を下回るといった最悪の状況に置かれている。

 毎日の通勤や通学、買い物客などで賑わう阪急電鉄梅田駅は、平日1日当たり約55万人の乗降客があるという。ここに店舗を構えるサウンドファースト梅田店は、兵庫県西宮市の西宮店とともに今春閉店する。同チェーン店は、すでに昨年、六甲店と茨木店、高槻店、三宮店を閉店している。

 サウンドファーストは書店<ブックファースト>との複合店舗(クリスタ長堀店、エビスタ西宮店、デュー阪急山田店、ミュー阪急桂店、四条大宮店)の5店舗は当面継続営業する予定としているが、段階的に閉店するものと見られている。

元気で明るい売り場作りを


◆◆こうした大資本による専門店に限らず地域のCDショップも経営環境は悪化の一途である。大阪府レコード商組合の加盟店は本店ベースで30店舗と言われている。非加盟の店舗もあるが、年々、減少していることは否めない。
 「Music news jp」は、大阪府レコード商組合の角谷寛行組合長 = 写真・左 = にインタビューして、今年、地域CDショップがあるべき姿を聞いた。





 悪い材料ばかりが揃う業界にあって、まずは雰囲気を良くしていくことが大切でしょう。
 幸いなことに昨年末からJ-POP作品を中心に、今年につながるような商品も発売されているのは明るい材料でしょうか。

 昨年、組合はレコードメーカーの在阪営業所の責任者との話し合いを重ねて、販売最前線あるCDショップの現状を理解してもらうように務めました。
 これは一応の成果を収めたと思います。これによって徐々に良い方向へ進展してくれることを願っています。ただ目玉となるような政策が見られないのは、残念ですが。

 そうした中で、メーカーには売れる商品をなんとしても創ってもらいたい。それがショップが元気に商品を売る前向きの姿勢になる一番の栄養素なると思っています。
 たとえば売りにくいアルバムも、企画力で売れる商品にしてもらいたいです。

 もちろんそんな商品が出てくるのを唯待つだけでなく、CDショップは絶えず前向きな姿勢で、明るく元気な売り場を演出していくことが大切でしょう。



◆日本レコード協会によると09年にデビューした歌手の数は、505人(うち再デビュー79人)で、08年も512人(うち再デビュー120人)と、2年連続して500人台になっている。売るためのコンテンツは豊富だが、売れない状態が続く。
 新たにデビューした彼らが自分のCDを販売する”主戦場”は、CDショップの店頭からカラオケ喫茶・スナックやカラオケ教室などへと変わってきている。



[大阪府レコード商組合]
http://www.ebisudo.net/jrta-osaka/





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