◆歌手生活58年のベテラン、ペギー葉山が今年1月に、3年ぶりの新曲「夜明けのメロディー」をリリースした。NHKラジオの人気番組「ラジオ深夜便」で、深夜便のうたとして放送されたことで、たちまち中高年から多くの反響を呼んでいる。自らの人生を振り返った時、希望がわくような歌にしたいね、と作詞を担当 した作家五木寛之と相談して作られたという。今まで意識しなかったチャートランキングに、デビューして初めて入るといったほど、 売れ行きも順調だ。




 新曲はラジオ深夜便の20周年記念曲として作られた。
 45年前からの付き合いという作家の五木寛之が「人生を顧みた時に、希望が生まれそうな歌にしたい」と書いた。作曲は弦哲也だ。彼の作品である「天城越え」(石川さゆり)はペギーが大好きな歌でもあるという。
 「夜中に人生を振り返り、朝日とともに一歩前進する。そんな気持ちにさせるように歌っている」

 五木の歌詞の一つひとつが心に響いたという。
 「歌をいただいて、還らぬ季節は忘れてしまえばいい すてきな思い出だけ 大事にしましょう など、五木さんの歌詞が素晴らしいくて感動した」

 1959(昭和34)年に「南国土佐を後にして」が大ヒットしたのは、NHK高知放送局からだった。そして今回もNHKが火付け役。
 「南国土佐-の時にはラジオ、テレビなどと分散して盛り上がったんですが、今回はラジオ一本」
 高知では、ちょうど今、NHKテレビの大河ドラマ「龍馬伝」で盛り上がっている。そんな中で、南国土佐-を知る人も多い高知でも「夜明けのメロディー」が話題になるかもしれない。




◆語るように歌う
 聴く人たちはペギー葉山の「夜明けのメロディー」のどこにひかれたのだろうか。
 歌は語るように歌へと言われるというが、今回の曲の一番の課題はそこだったと彼女はいう。
 かつて夫で俳優の故根上淳が、彼女のコンサートを聴いて「あんたはまだ、歌っているね。もっと語るように歌えよ」といったそうだ。
 「その時はその意味がわからなかったが、今<夜明けのメロディー>を歌って、やっとわかったような気がする。そうした歌に出会えたことが幸せだと思っている」




◆歌は人を元気にしてくれる
 歌は文化であり、人がどのように落ち込んでいても歌は元気を与えてくれる力を持っている。
 ペギー葉山はそのように言う。
 歌詞を鮮明に前に出して歌うことが大切だが、最近の若い人の歌にはそれが少なくなった-といった苦言も。
 彼女は、美しい日本語を大切に表現する、少なくなった歌い手の1人でもある。




◆歌が好きでたまらない
 ペギー葉山は、今まで歌い続けられたことを「歌が好きであったから」という。
 これからも素晴らしい歌に巡り合えることを祈って歌 い続ける。4月には今までを集大成したようなアルバムも発売する予定だ 。
 拳を振り上げてヒットさせようという気持ちではなく、さりげなく歌い続けてきたことが今日につながっている、と60年近いキャリアの歌手には力みはない。

 デビュー以来今まで、自分のペースで仕事をしてきた。
 そんな中でチャートランキングに入ったのは「夜明けのメロディー」が初めてだという。
 南国土佐-の時代にはチャート誌などなかったからでもあるが、この出来事に驚きの色は隠せないようだ。



 4月16日には大阪・梅田のサンケイホールブリーゼで「ペギー葉山コンサート2010」を開く。「学生時代」をはじめ「つめ」「ドレミの歌」など、懐かしい歌を聴かせてくれるほか、平城遷都1300年祭にちなんで「あかねさす紫野」など万葉の心を歌った曲も披露することになっている。


[ペギー葉山のブログです。]
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