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岸本あずさ、「雨の訪問者」で再デビューへのドラマ  3月27日リリース [インタビュー]

◆歌手岸本くに子が2024年3月27日に芸名を岸本あずさに改名して、新曲「雨の訪問者 / おもいで御堂筋」(両A面)を日本クラウンからリリースする。これで心機一転のデビュー20周年を飾る。遠回りして来た歌手人生を新曲で取り戻せーーとばかりに、改名を後押ししたのは、「雨の訪問者」の作詞・作曲をした作曲家伊藤雪彦であった。

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写真・20周年で新曲リリースと岸本あずさ(旧・岸本くに子)に改名する


 岸本あずさは2003年に「座禅草」で岸本くに子の名前で演歌・歌謡界にデビューしている。会社勤めをしながらインディーズレーベルのオーディションを受けての歌手デビューだった。
 小学5年の時にフジテレビの「ちびっこ歌まね王座決定戦全国大会」でグランドチャンピオンになるなど、子供の頃から歌が大好きで、いつかは歌手になりたい、と夢を抱いていた彼女にとっては念願の第1歩であった。

 キャリア20年の間にリリースした作品は、今作で5作目と寡作の部類に入る。新曲は17年ぶりである。これには理由があった。
 OLを兼務しながらの歌手稼業では疲れは溜まる一方であったのと、この業界特有の他人に騙されるなどして人間不信にもなっていたという。

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写真・「雨の訪問者」

 描いていた理想とは程遠く、泣かず飛ばすの状態が長く続いていた。ファンの中にはそんな自分に愛想を尽かせて離れて行く人もいた。

 それでも歌は諦めたくなかった。その気持ちを保ち続けられたのは、父母譲りの性格と父親が亡くなる前に言った一言であったし、今作のきっかけとなった作曲家伊藤雪彦との出会いであった。

■父の死が歌手を続ける決心に

 2020年春から始まったコロナ騒動では仕事は急激に無くなった。まさに弱り目に祟り目である。
 泣き言ばかりは言っておれないので、暇に飽かせて、大好きな美空ひばりの歌を歌ってYouTubeにアップし始めた。ただ歌手に憧れていた子どもの頃のように、楽しく歌っていると周りの評判も良かった。

 ところが悪い事は続くもので、工場を経営していた父親が転倒して頭を強く打ち、くも膜下出血で入院してしまったのである。
 コロナ下ということで、理不尽にも家族ですら面会もままならない状態。ようやく会えたのは、息を引き取る寸前だったという。
 「意識が奇跡的に戻った父が私に『くにちゃん、歌を諦めたらあかんで、頑張るんやで、お母ちゃんを頼んどくで、くにちゃん、ごめんな・・・』って、小さくなった冷たい手で私の手を握ろうとしてきたんです」

 売れない歌手を続ける彼女は、日頃、兄姉からは冷たい目で見られていたという。何度も歌手を辞めようかと考えた事もあった。
 が、この時の父親の最期の言葉を耳にした岸本にとって、「歌手を続ける事は父の遺志と気づかされました」と、親から子へ伝えられる美しい宝物のように、どんな事があっても「歌手を続ける」と決心した瞬間であった。

■伊藤雪彦からの電話

 悲しい父親の死であったが、母親の前では泣き顔を見せないように努め、美空ひばりの歌を歌ってアップし続けていた。
 そんな時に出合ったのが、「別れの宿」という伊藤雪彦の作曲で、美空ひばりが歌っていた楽曲だった。

 「幼い頃から伊藤先生の作品ばかりを歌ってカラオケ大会などでも優勝してきたので、先生の名前は良く知っていましたし、八代亜紀さんが歌った伊藤先生作曲の『恋歌』『おんな港町』は十八番でした」

 偶然に出合った「別れの宿」。その「寂しさあふれる歌詞に、相手の幸せを願う明るい先生のメロディには感動しました」という岸本は、それだけに止まらずに、美空ひばりさんが好きで歌っていることや売れない歌手であることなどを書いたファンレターを伊藤に送っている。

 するとすぐに伊藤から電話がかかってきて、彼女はびっくりしていまう。
 「新曲も出せないし、歌を諦めようと思っていましたなどと話をすると、先生はひばりさんが貴女を連れてきてくれた。ひばりさんも喜んでいるでしょう。絶対に諦めてはいけない。曲を作ってあげるから、今まで貴女が遠回りしてきた分、取り戻をせばいい。人生は波と一緒だから、いい時もあれば悪い時もあると助言をして頂きました」



 その後、手紙でのやり取りもあって、去年2月からは毎月、東京の伊藤のもとへレッスンに通い始めた。
 ある日、伊藤は改名した方がいい、と提案してきた。デビューしてからずっと、本名の邦子から取ったくに子を芸名にしてきただけに、驚きであったし未練もあった。

 「20ほどの新しい名前を紙に書いて、画数も調べて見せてもらいました。数ある中で、一際光り輝いて見えたのが『岸本あずさ』でした」

 これで再出発するからーー。迷いを吹き飛ばした岸本は「お母ちゃんの為にもこの新しい名前で頑張る、と考えると奮い立ってきました」と話す。

■親孝行の〈あずさ号〉出発

 岸本くに子という歌手はいる。その程度であった今まで。
 「親に心配ばかりさせてきたけれど、岸本あずさとしての再デビューは、心配もれあるけれど母は喜んでくれました」と胸を撫で下ろすと共に、希望を大きく膨らませる。

 伊藤雪彦がピアノで弾く新曲「雨の訪問者」を聴いた彼女は思わず泣いてしまったという。その感動を忘れずに、3月27日再出発をする。

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写真・ラジオ関西での収録。右はパーソナリティの歌手福島はじめ

 4月22日にはラジオ関西で放送される「福島はじめのハピネス歌謡曲」(午後9時30分〜)にゲスト出演して、「雨の訪問者」をアピールする。
 さらに同24日には、東大阪市にあるCDショップ、ミヤコ瓢箪山店で店頭キャンペーンも行うという。
 いずれも「聴いてもらえる人たちの心に歌が届き、喜んでもらえるように歌いたい」と意気込みを見せる。

※写真・記事の無断使用はお断りします。








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