◆大阪・新世界は演歌の街。あの通天閣歌謡劇場は幕を閉じたが、街では今なお演歌は歌い継がれている。その新世界にあるシアター朝日では毎月1回、演歌・歌謡曲ショーが行われている。客席数200足らずの小さな劇場には毎回、人情味あふれる歌を楽しもうとたくさんのファンが集まってきてくる。2017年10月21日には「新世界秋満喫歌謡祭」と題して、かつては通天閣の白雪姫と呼ばれた藤美詠子、奈美京子など新世界ファンには懐かしい顔ぶれや林よしこ、たくみ稜、浪曲の三原佐知子など7人1組が出演して観客を楽しませた。


「新世界秋満喫歌謡祭」の出演者たち


 1日2回の公演。雨にもかかわらず、たくさんのファンが詰めかけていた。浪曲にとどまらず民謡から歌謡曲まで幅広く歌う浪曲師・三原佐知子はこの日、菊池寛原作の「藤十郎の恋」から「お梶」と「岸壁の母」を聴かせてくれた。その説得力ある歌に、客席からは<これぞ演歌>と言わんばかりに<日本一>などと、やんやの掛け声が飛んでいた。


三原佐知子

 デビューは8歳という藤美詠子。新世界で歌うのは久しぶりというが、この地での人気は相変わらず。最新曲の「二升五合」などを歌った。
 テレビ番組「演歌ジャックス」のレギュラー、秀彦&聖子は初出演。「東京シルエット」などを披露した。来年3月8日には、同じシアター朝日で20周年記念イベントを予定しているという。


藤美詠子

秀彦&聖子

たくみ稜

 この歌謡ショーにレギュラー出演する林よしこは「ときめいて」「ほっこり酒場」「淀川みれん」のオリジナル曲のほか高橋真梨子の「for You」をカバーした。
 元内山田洋とクールファイブの4代目ボーカルのたくみ稜は、その頃の「噂の女」を歌い、最新曲「上海たずね人」などオリジナル曲も聴かせた。


林よしこ

 シアター朝日は、2016年9月に閉館した映画館・新世界日活跡に、同1月に隣の朝日劇場とともにオープンしている。