沢井明の歌は女性の恋愛歌である。新曲「おもいで蛍」もまた、愛しい人を忘れようにも忘れ切れられない切ない女性をムーディーに歌う。「ストーリー性の高い、女性の気持ちが表れた楽曲です」(沢井)。
歌の主人公は「どこにでもいる女性を歌っている」(沢井)のだが、そこにはかつての沢井自身の体験が下敷きになっている。
イントロは編曲を担当した伊戸のりおによるポルトガルギターの音色が入る。「耳に残る演歌にしたい」という沢井の希望を聞き入れたもので、伊戸がアレンジしたものである。これが切なさを倍加することになった。
そんな時、大学を中退した彼は、クラブで演歌を歌う機会を得た。それが今、歌謡演歌と自ら言う歌を歌い始めることになっていく。
クラブ歌手は3年ほどやった。自分で書いた作品を歌ってCDを出せばいいとも思っていたのだが、「クラブでは自分で歌いたいものを歌えない」といった制約があった。本格的に歌の勉強をして、プロ歌手を目指したい。彼の想いは変わって行く。作詞・作曲家の猪俣公章に師事したのもそのためである。インディーズながら自ら歌を書いてCDデビューも果たした。
■さらに上のステージへ
日本クラウンでメジャーデビューして、2016年にはテイチクへ移籍。活動も徐々に広げている。
そんな沢井は、1か月のほぼ半分は自宅のある東京を離れて、大阪など西日本で活動することが多い。大阪ではここ10年、個人レッスンなどカラオケ教室を開いており、その生徒数は100人にもなるという。
年に1回は課題曲のカラオケ発表会も催す。来年4月には「おもいで蛍」のレッスンの成果を披露する発表会を予定している。
その彼には大阪を舞台にした歌も多い。インディーズ時代から数えると6、7曲になる。「ファンが大阪に多く、大阪の歌を歌うと反応がいいのです」
まるで在阪歌手のようでもある。
沢井は物静かだが「自分の歌をより多くの人に聴いてもらいたい。ファンの人たちからは応援していて良かった、と思ってもらえるように、少しでも今より上のステージへと昇れるように頑張りたい」と、力強さを見せてくれた。
[沢井明 オフィシャルサイト]
https://donmusic.amebaownd.com/
[沢井明 テイチクエンタテインメント]
http://www.teichiku.co.jp/teichiku/artist/sawai/