ヒットする要素である心地良さの要素が備わっている。それが「雪舞い岬」なのだという。CD発売直後のチャートで1位、3位と上位にランキングされたのが、それを裏付けている。数多くのヒット曲を手がけている作曲家鈴木淳による作品であることも、瀬口を力づける。
「ドラマチックな作品に、とお願いしていた今作を歌うに際して、久しぶりにお会いした鈴木先生の事務所に何度も伺って、門下生になった気分でレッスンを受けました」
歌の舞台は凍える北海道・宗谷。1番から3番までの最後 ♪ 雪が舞う 〜 は、瀬口自身にとっても「歌っていて気持ちの良いところ」で、最大に歌が盛り上がっていく。
ドラマチックさに華を添えるのが、瀬口が着る衣装の着物。
前々作の「八尾しぐれ」から衣装を着物に替えている。ドレス姿の瀬口から着物姿がすっかり定着してきた。デビュー17年、ビジュアル面でも演歌歌手の定番とも言える姿に。「最初はドキドキでしたが、今は着付け時間も30分もかかりませんよ」(瀬口)。
■中高年に人気の「霧にむせぶ夜」
ところで鈴木淳と言えば、今作のカップリング曲「霧にむせぶ夜」も彼が書いた作品で、黒木憲が1968(昭和43)年に歌って、累計で130万枚を売上げたヒット曲。
実はこの楽曲は10年前に1度、瀬口によってカバーリリースが予定されていた。2006年に村上幸子の「不如帰」をカバーしてヒットしたことから、それを受けてのものだった。レコーディングまで済ませたが、急きょ別の作品に差し替えられている。
「父は黒木さんに似ていたことが自慢だった、と聞いています。そんなこともあったのでしょう、『霧にむせぶ夜』のレコードを買ってきて、得意げに歌っていたそうです」
ヒットから49年経った今、それを彼女が歌う。
「父はわたしがデビューした2000年に59歳で亡くなりましたが、これを歌うことを喜んでもらえると思えて嬉しいです」
「霧にむせぶ夜」の収録が決まって瀬口は、父親の霊前に歌える喜びを報告している。
販売枚数が5万枚以上を超えたと言われる「不如帰」。前作の「津軽の春」はそれに並ぶほどに多くのファンから支持を受けた。瀬口の代表曲のひとつになるものと思われる。それに続く今作も発売直後から好調で、1年近く歌ってきた「津軽の春」を上回る可能性も大きい。2020年のデビュー20周年に向けて力が入る。
12月13日にはアルバム「瀬口侑希 プレミアムベスト」を出す。「津軽の春」「不如帰」など全13曲が収録される。これにはまた「淋代(さびしろ)海岸」「波止場のれん」「海峡わかれ雨」といった新録曲3曲も収録される。価格は2700円(税込み)。
[瀬口侑希 オフィシャルサイト]
http://www.crownmusic.co.jp/artist/seguchi/wn.html
[瀬口侑希 日本クラウン]
http://www.crownrecord.co.jp/artist/seguchi/whats.html