「もし30年前の自分に会えることが出来るとしたら、きっと30年後にいいことがあるから頑張ってね、と自分に声をかけたい」
石原詢子はデビュー30周年を迎えた今を、このように語っている。
一方、カップリング曲「細石 〜 さざれいし 〜 (詩吟「細石」入り) 」(作詞・鮫島琉星、作曲・岡千秋、編曲・南郷達也)は、歌の中に珍しい詩吟入りといった、詩吟の師範ならではの楽曲である。
CDは通常盤のほかに、コンサートでファンの方からのリクエストが多い「みれん酒」と「逢いたい、今すぐあなたに…。」を収録した初回生産限定お得盤も出している。
発売日には大阪市内のイオンモールで新曲キャンペーンを行い、笑顔で「遥かな道」の発売をアピールしたした。翌日の12日には大阪・堺市のおおとりウイングスと兵庫・西宮市の阪急西宮ガーデンズでも発売記念キャンペーンを行う。
■約束を果たして揖水流家元
自ら立ち上げた詩吟揖水(いすい)流の家元だった父親が詢子に求めたのは、自分に代わって家元を継ぐことであった。
12歳から揖水流の師範代でもあった彼女ではあったが、すでに歌手として軌道に乗り始めた頃でもあり、受け入れることは出来ず「50歳になったら跡を継ぐ」と、家元は兄に譲ることにした。
「遥かな道 初回生産限定お得盤」
「その頃はまさか50歳まで歌手を続けているとは思ってもいなかったので、そのような約束をしたのですが、その直後に父と母を相次いで亡くしたこともあり、50歳になった今、約束を守らないで後悔するのが嫌でした」
継がないといった選択肢もあった訳だが、敢えて多忙を極める歌手業との2足のわらじを履くことを選んだのである。
「不安はありましたが、詩吟の良さを伝えるのがわたしの使命だと考えて踏み切りました。詩吟のいいところは、奥深い漢詩の世界を体験できることと、限界まで声を出すことなどで健康向上にもつながります」
4月から東京、大阪の2教室で始めた詩吟教室(写真は東京教室)
4月から彼女が石原美風の吟号で開講した東京・新宿文化センターと大阪・天満橋の教室では、かつてテレビなどで石原が吟じる姿を目にしたことがあるという60-70代のファンを中心に、それぞれ男女20人が、石原の教えに合わせて発声練習を始めている。
教材は彼女の父親が作った、中国の詩人・朱熹が書いた漢詩「偶成(ぐうせい)」を題材にしたもので、それを基に詩と節を教えている。
「いずれは地元の岐阜をはじめ各地に教室を広げて、10年先には1000人規模の流派に成長させたい。今作カップリング曲のように、演歌・歌謡曲の中に詩吟を挿入する吟詠歌謡コースも作ることが出来るといいですね」
石原の<遥かな道>への夢は広がるのである。
■9月に記念リサイタル
ここまで歌手を続けているとは思いもしなかったのだが、30周年を契機に様々なイベントも予定している。
2018年6月24日には大阪府堺市でサマーディナーショーを、9月5日には東京・中野サンプラザで30周年記念リサイタルを開く。リサイタルには10年来の浪曲の師匠でもある二葉百合子がゲスト出演することになっている。
石原は新たな挑戦である詩吟家元という道と「さらにこれからも男歌であろうとセリフ入りであっても、ジャンルを問わずにチャレンジして歌って行きたい」と、歌の道を極める覚悟である。
[石原詢子 オフィシャルサイト]
http://junko-ishihara.com/
[石原詢子 ソニー・ミュージックダイレクト]
http://www.sonymusic.co.jp/artist/JunkoIshihara/