知里は今、前作の「花艶歌」(2017年)から〈ニュー演歌〉と呼ばれる、ポップスぽい要素を多分に含んだ新しい演歌の路線を歩み始めている。衣装も上半身は着物だが、下半身はスカートにハイヒールといった、まるで服を着た人魚のようで、まさにニュー演歌の言葉に相応しい出で立ち。
「歌詞を読み、意味を解釈して、振り付けの所作を勉強しています」
演歌を自分のものにしようと必死である。
そんな千里だが今作(演歌)は「歌詞は単純だけど、重くて難しい言葉が並んで暗い。でも楽しく歌えます。こつこつと笑って歌っています。そうすると笑っている顔がいいなんてほめてもらえるんですよ」と、笑って見せてくれた。
ファンからは「あら、今度は演歌なの」と言われるが、ホームグラウンドの千葉を飛び出してのキャンペーンでも反応は良い。「CDを1枚1枚と買ってくれる年配の女性たちが増えてるんです」
そうした年配層をカップリング曲でも喜ばせている。「あなたの女です」のカップリングには織井茂子が歌った「黒百合の歌」(1953年)を、前作の「花艶歌」には伊藤久男の「イヨマンテの夜」(1949年)を収録している。彼女の豊富な声量が、歌の魅力を高めてくれている。
新しいことをするのに抵抗は感じないという千里。今、始めようとしているのが、「花艶歌」と「あなたの女です」のPVに、中国語や韓国語、英語などの字幕を挿入してネット配信すること。
まだ歌詞の翻訳を始めたばかりだが「海外の人たちにも日本の演歌を楽しんでもらいたい」と、奇抜な衣装と合わせて国内外への期待は高まる。
順調に〈ニュー演歌〉の路線を歩み出した千里だが「将来は、ちあきなおみさんの路線に憧れています。さらにはマンボ、ルンバといった曲調を取り入れた作品にも挑戦してみたい」と、新しいものへのチャレンジ精神は旺盛である。
[知里 オフィシャルサイト]
http://office-kaneko.co.jp/
[知里 日本クラウン]
http://www.crownrecord.co.jp/artist/chisato/whats.html