コンサート開始前、彼女は「楽屋に入ってから少し運動することでアドレナリンの分泌を盛んにさせて、気持ちを高ぶらせました」と、髪を整えながら本番を待ち構えていた。
前作のCD「港のセレナーデ」を出してから20年が経つ。
OSK(大阪松竹劇団)で活躍していた北沢は、1985年に杉本真人作曲の「私の胸をかじる人」でポリドールから22歳で歌手デビューしている。
その後、代表曲と言われる「銀次」「港のセレナーデ」を発売したものの「泣かず飛ばずの状態が続いていた」こともあって、13年前に東京で歌手活動に見切りをつけて地元の奈良に帰ってきた。
その後、奈良市内でカラオケ教室を開き、170人ほどの生徒を抱えるまでになって、毎年<カラオケ教室発表会>を開いている。
ただCDをリリースからは遠ざかっていたし、単独コンサーも3年前に同じ大和郡山城ホールの小ホールに300人を集めて開いた以来だ。
数年前から再び歌いたいという気持ちが高まってきたようだ。
3年前からはホームページ http://uta-utai.com/ を開設するなど、外部に向けて歌手北沢麻衣をアピールし始めた。
「そのホームページを見て過去の楽曲である『かんにんね』をラジオにリクエストしたといったメールをもらったり、周りのたくさんの人たちが応援してくれたことが、歌手復帰を果たす後押しにつながりました」
「夜を越えて」は6枚目のCDシングルだ。かつて同じポリドールに在籍していた、現ウェブクウ社長の山口光昭氏との縁もあって全国発売が決まった。
「これからはライブをマメに行うとともに、大阪でのキャンペーンも行っていきたい」
「夜を越えて」の作曲を担当した中西大介氏(左)らと歌う北沢
◆コンサートの幕が開くと「勝負衣装」という青色のドレスで現れた。
「この色は彩華ラーメン=本店は奈良県天理市=のユニフォームと同じなんです」
最初から会場を笑わせる。やはり関西のアーティストである。
まずは代表曲「銀次」から始まった。次いで新曲「夜を越えて」をシャンソン風にアレンジして歌ってみせ、最後にはアレンジを加えない「夜を越えて」を聴かせてくれた。
このほかオリジナルは「かんにんね」「港のセレナーデ」「私の胸をかじる人」も披露。また「涙そうそう」「吾亦紅」「リンゴ追分」「あの鐘を鳴らすのはあなた」などカバー曲も歌った。
北沢は最後に「今度は<特大>ホールでやりたいです」と、次のステップを宣言していた。
終了後、彼女はロビーでCDの即売とサイン会を行ったが、CDはたくさんの人がまとめ買いをするなど、文字通り飛ぶように売れていた。
[北沢麻衣 うたうたいのホームページ]
http://uta-utai.com/