◆由紀さおりが、2012年6月9日、大阪市西区のオリックス劇場(旧大阪厚生年金会館)で「由紀さおり&ピンク・マルティーニコンサート」を開いた。

 由紀さおりとピンク・マルティーニのジョイントコンサートは、千葉、東京、大阪における日本ツアー第1弾で、いずれも大盛況だった。大阪のオリックス劇場(2400席)では、由紀自らが「チケット完売、ありがとうございます」とあいさつしたほどの超満員だった。











 茶目っ気たっぷりのピアノ奏者のトーマス・ローダーデール率いるピンクマルティーニによる演奏と歌で始まったコンサートは、観客の期待が満ちあふれていた。
 というのも両者のコラボレーションによるアルバム「1969」は、すでに86万枚が売れており、由紀の歌唱が多くの人々に再認識されたからだ。
 このツアーをきっかけに、アルバムはさらに販売枚数を伸ばすことは間違いないとみられている。

 由紀はアルバムの中から「ブルー・ライト・ヨコハマ」「いいじゃないの幸せならば」「夕月」「夜明けのスキャット」「パフ」「マッシュ・ケ・ナダ」を歌った。

 「夕月」は1968年9月に黛ジュンが出した楽曲だ。作詞はなかにし礼、作曲・編曲は黛の兄である三木たかしといった当時の売れっ子コンビだ。
 改めて由紀が歌う「夕月」を生で聴くと、小説でも読んでいるかのような気にさせられるその詞、それを映像化させるメロディーに思わず涙が出るほどだった。

 トーマスが「素晴らしい声は世界の観客を魅了する」と話していた通り、コンサートのラストでは観客による輪ができ、ステージの上まで駆けのぼっていた。由紀とトーマス、それにピンク・マルティーニ全員と一緒になって日本の詞とメロディーの余韻に浸っているようだった。


 トーマスが偶然に見つけたという由紀の歌声。それに応えるかのように由紀は、再び歌うことになった歌謡曲に「初心に帰って、自分の歌のような気持ちで歌います」と、大張りきりだった。

 ツアーコンサート第2弾は今年10月から全国22カ所を回る。関西では10月12日に堺市民会館大ホール、13日に兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホール、16日には再びオリックス劇場で予定されている。