今年2月の兵庫県尼崎市でのキャンペーンで歌う大沢桃子
「俺たちは海が憎いわけじゃない-」
大沢は故郷へ帰るたびに、地元でお世話になっている人たちを訪ねている。その時に決まって出てくるのが、この言葉だった。
再び海で仕事をしたいという思いが強く伝わってきた。その時に感じたことをメモしてきた。
次の作品は自分の書きたいものを、と言われていた大沢は、何をテーマにしようかと考えていた時だった。
「漁師さんたちの話を聞いていて、通りいっぺんに頑張ろうと歌うのではなく、人の心が寄りそう、そんな気持ちが伝わる歌にしようといった思いが膨らんできました」
そんな時、彼女は母親が運転する車で、大船渡市三陸町にある三陸鉄道南リアス線の恋し浜駅に立ち寄った。震災で被害を受けた鉄道は運休したままだったが、2年後には完全復旧するという。
三陸鉄道の駅の多くは無人駅で、ここも駅員はいない。そこにいつの頃からか、無数のホタテ貝の殻が、まるで絵馬のように願い事が書かれて吊るされるようになった。風が吹くとカラカラと貝殻が重なり合って悲しげな音を鳴らす。
2011年3月11日の東日本大震災以降、ホタテ貝に書かれる願い事は「明るく元気な故郷を」と、復興を願うものが多くなってきたという。
それが貝殻の悲しい音を一層大きくしているようだった。その時に新曲のテーマは決まった。
震災と津波以前の楽しかった頃への恋しい想いを、この恋し浜駅と重ね、ラストは ♫ 朝日が昇る・・・恋し浜 として希望へとつなげることにした。
これを歌う時、大沢は大漁旗をつなぎ合わせて作った袢てんをまとう。
震災によって廃業追い込まれた大船渡の漁師から、大漁旗をだんぼうる箱にいっぱいになるほど譲り受け、地元の女性に縫ってもらったという。
海への想いを寄せる漁師の気持たちをいっぱい込めている。
デビュー10年目の今年も大沢は「故郷の今を歌で伝えていきたい」と、故郷を歌い続ける。
[大沢桃子オフィシャルウェブサイト]
http://bspro.jp/momoko/index.html
[大沢桃子 徳間ジャパンコミュニケーションズ]
http://www.tkma.co.jp/enka/oosawa/