1年3ヶ月ぶりに出した「王将物語」は、村田英雄が歌った「王将」をはじめ数々の映画やドラマにもなっている。浪花の将棋指し坂田三吉の勝負にかける意地と女房の小春との夫婦愛の物語を、新たに水木れいじが作詞し、作曲をすがあきらが手がけ、池多孝春が編曲した。
渡辺が「浪花ものを数多く歌ってきましたが、最も代表的なものを歌いたい」と希望したのが、この楽曲だった。
レコーディングに臨むに際して渡辺は、大阪府堺市にある舳松歴史資料館の坂田三吉記念室を何度も訪ねている。ここで坂田の逆境を跳ね返す反骨心や、小春との夫婦愛などを学び、歌のイメージ作りに没頭した。
「関根名人に無名の将棋指しが挑む弱者の物語であり、弱い立場を跳ね返す意地、大阪が東京に勝つといったストーリーは大阪人を奮い立たせます」
1番と2番の間には<日本一の将棋さしに なったろやないか>といった台詞も入るなど、歌うもの、聴くものを実に気持ち良くしてくれている。
「作詞の水木れいじ先生が坂田三吉を歌った作品の中でこれが一番いい、と言ってくれました」と渡辺。
渡辺はこの歌で、♪ 明日(あす)の一番 意地でも勝って 笑う天下に 王手をかける… と歌う3番の歌詞が一番好きだという。
男気を売りにしている渡辺らしさが見えてくるようだ。
一昨年から体調を崩しがちだった。一時入院もしたが、この時の体験が「弱い者へ向ける目が一段と優しくなりました」など、今作をより説得力ある歌にすることにつながっている。
体調はここにきて回復してきている。渡辺は「健康であることへの感謝を改めて感じる」とし、さらに「王将物語」が、自分自身を奮い立たせることにつながっているようである。
渡辺は遅くして歌手デビューしている。そこから長い下積み時代を経ている。そんな中で前作まで5作続けて日本クラウンのヒット賞を受賞してきたのが、彼の自慢でもある。「王将物語」はそれらを上回る気配を感じるという。大阪初日の店頭キャンペーンでもたくさんのファンが応援に詰めかけて声援を送っていた。
業界関係者たちを招いての新曲発表会も「今回は大阪、しかも王将ゆかりの地、新世界・通天閣でぜひやりたい」と、渡辺の意気込みはいつも以上の力強さを感じさせている。
[渡辺要 オフィシャルサイト]
http://www.kaname8739.com/index.html
[渡辺要 日本クラウン]
http://www.crownrecord.co.jp/artist/watanabe/whats.html