「七夕コンサート」の東京会場では、ここ数年、今まで演歌には縁遠かった若者たちの来場が増えているという。既存のファンたちの呼びかけに応えた大学生たちが、原田の歌謡浪曲「特攻の母 ~ ホタル ~ 」を聴くためにやって来ているのだ。
その多くは日本がかつてアメリカと戦争をしていたことも知らないという。彼らが歌を聴くことで、70年ほど昔に平和と家族の無事を祈って、アメリカの艦船に戦闘機もろとも突撃して命を散らした若者たちがいる事実を、原田は「純粋に伝えるだけです。この歌で反戦を掲げようなどと大それた思いもありません」と、ただ愚直に歌い伝えることに使命感を感じる。
事実を伝える「特攻の母」
ライフワークとして続ける鹿児島・知覧のとみや旅館でのライブもこれからも続けていく。
3年前の「七夕コンサート」から「特攻の母 ~ ホタル ~ 」を歌い始めたところ、観客からは問い合わせが相次いだ。アルバムにも収録したが、シングルカットを望む声は日増しに多くなった。そうした声に推されるように、、今年の「七夕コンサート」の前に発売に踏み切った。
政治の世界では折しも集団的自衛権などが今大きく取り上げられている。それとこの歌の発売を重ねる向きもある。CDショップへも問い合わせも多いという。
複雑な女心を歌う「涙しぐれ」
声を聞くことでファンと一緒に作品を作り上げたいという姿勢は、今もデビュー当時も変わらない。そのために客との接点を出来るだけ増やしたいとする。コンサート後の握手会にも顔を出すことを心がけるのもそのためである。
直に客の声に接すると、応援してくれる暖かい声もあるが厳しい声もある。
「今までには真剣に聴いてもらえないこともありました。しかし1人でも耳を傾けてくれる人がいたら、その人のために歌ってきました。それが歌手としてのプライドだと思ってきたからです」と、原田は言い切る。
その想いは今作「涙しぐれ」でも変わらない。
原田にとって「新しい引き出し」という「涙しぐれ」は、聴かせどころという ♪ あいたくて あいたくて 好きだから あいたくて と繰り返すところだという。この歌の主題でもあるようだ。
人の心に残すことができる作品を届けたい -- と原田はいう。
[原田悠里 オフィシャルサイト]
http://www.kitajima-music.co.jp/yuri/
[原田悠里 キングレコード]
http://www.kingrecords.co.jp/cs/artist/artist.aspx?artist=10099