記者と同い年の角川に真っ先に聞いてみた。
「還暦を迎えて歌に変化は見らけますか」
特に意識はしないという。ただし「正しい音程と滑舌を良く丁寧に発音する」ことで歌が届くように心がけてはいるそうだ。とにかく<音楽>だから、歌を楽しんで聴いてもらうことが一番大切にしているという。
キングレコードには北川裕二、池田輝郎と同じ1953(昭和28)年生まれの<キング花のニッパチ組>がいる。いずれも活躍中の歌手だが、そうした存在も知らず知らずのうちに「励みになっている」ようだ。
新曲「夜泣き鳥」を歌う角川の声は若い。
しかもかつて角川演歌の特徴とも思えた粘っこい歌唱は消え、さらりと歌い流しているかのように聴こえる。
「常に自分の後ろに若くて可愛い女性がいるイメージを描いて歌うようにしています」
それが歌に若さを与えてくれている。
さらには「口の中で一度声を響かせて、それから出すように心がけている」のが声の若さの秘訣で、さらりとした歌唱につながっている。
さらりとした歌唱は今までの失敗、成功の繰り返しの中から生まれてきた経験値によるものだという。
歌の中に入り込まない客観的に歌うことが、今の歌唱を生み出している。
「どちらかというと演歌は歌詞はドロドロとして、歌はジトジトとしているでしょう。それをそのまま表現すると聴きづらくなります。ニコッと微笑むような感覚で、さらっと表現することで丁度いい塩梅になるんです」
「人生遠回りしてきたように思う。でもその方がいいのじゃないだろうか」
今は夫婦二人三脚で運営する事務所も順調で、カップリング曲の歌詞にあめ ♪ ふたりで生きたいめおと路 ~ を地で行くようでもある。
ところでカップリング曲は「めおと路」。
作詞と作曲を手掛けたのは東京・目黒の創業40年になるパン屋さんリヨン メルシーの創業者吉田勉さん。
ここのパン屋さんの一番人気はカレーぱんだが、三番目に入っているのがあんパン。あんこ好き、どら焼きが好きという角川にはたまらないのだが「決して甘党でもない」そうなのだ。
[角川博 オフィシャルサイト]
http://ameblo.jp/06hiroshikadokawa/
[角川博 キングレコード]
http://www.kingrecords.co.jp/cs/artist/artist.aspx?artist=13635