物語の最終章を前作と今作のメインで歌っている。今作は第1章にバックして、2人の出会いを心を躍らせて歌う。でも季節が流れるようにふたりにも秋風が吹き、やがて冬がやって来る。
宮田純花が「最後の頁」と第3章で今作カップリングの「晩秋」を作詞・作曲して、恋の終わりを描いている。恋の始まりの「春の落とし物」は北爪葵が作詞し、比嘉香が作曲している。
「学生時代の恋の終わりを回想して、想い出にありがとうという主人公。その恋はこうして始まって、このようにすれ違って行った・・・と、男女それぞれの目線で語るストーリー仕立ての作品を歌うのは、デビュー8作目で初めてのことです」
その平尾が、西田がデビューする前から繰り返し言っていたのが「歌のヒロインになるのではなく、ヒロインしなさい」だった。
「20歳そこそこの私には、意味は分かりませんでしたし、今も答えは分かりませんが、恐らく聴く人に寄り添って歌えということだったと思います。ヒロインになってしまうと、歌を伝えることが出来なくなってしまうからでしょう」
その言葉が今作によって、より生かされるひとになるのである。
■10周年までに大阪でコンサートを
実はこのホールのステージに西田は、デビュー前に1度、平尾一緒に立った想い出がある。
彼女がデビューしたのは2010年7月であるが、その年の春、平尾がよみうりホールでチャリティーコンサートを開いた際に、平尾は「今度、日本クラウンからデビューすることが決まっている西田あいを紹介します」と、コンサートのスタッフとしてやって来ていた彼女をステージに上げたのだ。スタッフの服装から衣装に着替えた西田は、その場で「グッバイマイラブ」をカバーしている。
偶然に7周年記念コンサートを同じ会場で開くことになったわけだが、そこには師弟の因縁めいたものを感じてしまう。
「先生に(コンサートを)見ていただけなかったのは残念ですが、10周年にはまたコンサートを開きたいし、それまでには鹿児島県人が多い大阪でもぜひ、実現させたい」
■待望の薩摩ソング
東京での7周年記念コンサートに集まった1200人のうち200人は、鹿児島の企業の東京支社の人たちなど鹿児島県人だった。
オープニングのデビュー曲「ゆれて遠花火」など20曲以上を歌ったコンサートでは、トークを極力減らして、西田の歌を中心に構成した。今作のボーナストラックとして収録した「薩摩めぐり」は序盤の中頃に披露したが、これも曲中で「字幕がないと他府県の人には決して分からない」という鹿児島弁をはさんだ程度。聴いてもらうことにこだわった。
見せる演出にもこだわった。「薩摩めぐり」を歌ったシーンでは、祖母の形見の大島紬をドレス風にリメイクしたものを着て、その奇抜さに観客をうならせたのだ。
10月には西田がパーソナリティを務めるラジオ番組「西田あいのおしゃべり♡あいランド」(ラジオ大阪)が、装いも新たに今年5年目に入る。焼酎の楽しみ方を歌とともに、教えている。これも西田の魅力を伝えるひとつであろう。
[西田あい オフィシャルサイト]
http://www.ai-official.jp/
[西田あい 日本クラウン]
http://www.crownrecord.co.jp/artist/nishida/whats.html