◆来年デビュー50周年を迎える前川清(テイチクエンタテインメント)と、去年30周年を祝った中村美律子(キングレコード)が大阪・上六の新歌舞伎座で初共演ー。2017年10月21日から始まっている人情喜劇「可笑しなふたり」と歌謡ショー「ビッグショー 浪花の秋祭り」特別公演である。前川は本人そのままのような真面目な役柄を飄々と芝居で演じ笑わせる。初めての前川との舞台を楽しむかのように屈託のない女中役の中村。それに続く歌謡ショーでは、芝居の緊張感から解き放たれた2人は、代表曲から新曲までをたっぷりと聴かせている。公演は11月9日まで。


初共演の前川(右)と中村


 弱ったな 〜 が口癖で本好きの、真面目一方な播州赤石藩の侍・左馬之介に前川清。その相手役の女中・お菊に中村美律子といった時代劇「可笑しなふたり」。
 正しいか、そうでないかを秤とする左馬之介と損得を大切にするお菊は「人間は他人(ひと)の幸せを分かることが大切である」などと、それぞれに理解し始める。クライマックスではふたりも結ばれてハッピーエンドに。




 観覧したのは初日3日目だった。そんなこともあってか、ふたりは緊張感いっぱい。それでも前川は「台本からそれても、皆さんに笑ってもらえると良いのかな」と言えば、中村も「まだこれからでんがな」と、明るさを振りまいていた。

■女の情と男の世界を歌う

 緊張から解き放たれたように、中村美律子「河内酒」で始まった歌謡ショーのステージでは、ふたりは「ホッとするね」と、伸び伸びとしたステージを見せた。1部は前川清「中の島ブルース」「大阪」、中村も「だんじり」と、交互に大阪ゆかりのオリジナル曲などをそれぞれ披露した。






 ショー2部では中村が「おんな風の盆」「無法松の恋」などで聴き応えたっぷりと男の世界を歌で演じると、一方の前川は「東京砂漠」「逢わずに愛して」「そして神戸」など内山田洋とクールファイブ時代のヒット曲で女の情を心ゆくまで聴かせてくれた。





 さらに中村は情景感あふれる「下津井・お滝・まだかな橋」や、定番の涙を誘う「瞼の母」で観客をしんみりとさせた。前川は10月18日に出した全曲英語詞で歌った、オールディーズカバーアルバム「Kiyoshi Maekawa My Favorite Songs ~ Popular 〜 III」(17曲収録)から「プリーズ・ミスター・ポストマン」などを披露したほか、同じ長崎出身の福山雅治に作詞・作曲を依頼した「ひまわり」も歌って前川清の新境地を見せた。




気さくに前川(左)も中村も客席のファンと握手

 もちろん新曲の「京都二寧坂」(中村)「嘘よ」(前川)も披露し、エンディングは出演者全員がステージに並んで「大阪ラプソディー」を歌って賑やかに締めくくった。




[前川清 オフィシャルサイト]
http://www.maekiyo.com/
[中村美律子 オフィシャルサイト]
http://www.goldenmusic.co.jp/mitsuko_nakamura.html
[新歌舞伎座]
http://www.shinkabukiza.co.jp/perf_info/20171021.html