お疲れ様 なんとかなるわよ・・・ お疲れ様 一緒に飲みましょ・・・
デビュー50周年記念曲の第3弾の「ぬくもり酒場」には、こんなセリフが入っている。居酒屋の女将になった三船のかっぽう着姿を思わずイメージしてしまった。
三船和子の歌でセリフ入りは初めてだが、その声を聞くためにもう一度行ってみたくなる、そんな店を歌う。
歌に出てくる ♪ 酒のつまみは ひじきの煮物 ~ のひじきは遠藤の母の味だったという。「先生は素朴なものが好きで、ひじきの煮物は大好物でした」と三船。
このように歌には、遠藤の面影がチラチラとと見えるのである。作詞をした麻こよみの心憎い隠し味である。
三船和子の芸名は師匠の遠藤実が付けた。縁起の良いと言われる「三」と、三船の兄弟子になる舟木一夫から一字をもらい、しかも大きな歌手になるように「船」の文字を当てて三船にした。和子は本名の緒方一子の一子(かずこ)を、みんなに好かれるように、と「和」に替えた。
三船の名前を世に知らしめたのは4作目の「他人船」だった。
「これを出したのは17歳の時でした。以来、遠藤先生はいろんな歌にチャレンジさせてくれました。そして今また、岡千秋先生が今までとはまったく異なる『ぬくもり酒場』を作ってくれました」
その岡は今回、新曲を作るにあたって「かずちゃん、俺に任せて。ちょっと違った感じのいい歌を作るから」と、力強く言ってのけた。
出来あがった歌を聴いた三船は「麻こよみ先生の詞と相まって、鳥肌が立つようでした」と、振り返っている。
2016年10月26日には徳間ジャパンコミュニケーションズ移籍して2枚目のアルバム「三船和子全曲集 ~ 女・・・泣く港 ~ 」を出している。
デビュー曲の「ベトナムの赤い月」から「他人船」「だんな様」、50周年記念曲第1弾の「夢旅路」同第2弾「女…泣く港」など16曲を収録している。
■自身の半生を歌う
カップリング曲の「三歩下がってついて行く」も岡が書いている。
三船はデビュー4作目の「他人船」をヒットさせた後の1968年、タクシー乗車中に交通事故に遭い、その後遺症で声が出なり、歌手を引退するはめになった。その後21歳で結婚したが、義父や義母との一緒の生活は苦労も少なくはなかった。それでも三船は「新しい歌が出来るたびに義母さんに聴いてもらっていました。後に100万枚を超える大ヒットになる『だんな様』(82年)は、これはいい歌だから必ず後世に残るよ、と言ってくれたんです」と、義母の優しさを懐かしんでいる。
そんな三船の主婦として、嫁としての自分を重ねて歌っているのが「三歩下がってついて行く」である。三船は「この歌は『だんな様』のような歌でもあります。歌い手は想いを代弁する人と思っていますが、この歌に共感してくれる女性も少なくはないでしょうね」と話している。
[三船和子 オフィシャルサイト]
http://mifunekazuko.com/sub10.html
[三船和子 徳間ジャパンコミュニケーションズ]
http://www.tkma.co.jp/enka_top/mifune_kazuko.html