「哀しみのコンチェルト」を聴いて共感する女性は多い。それは全編から伝わってくる寂しさや切なさによるものからであろう。しかしこの歌はただ悲しんでいるだけではない。
作品を書いた花岡優平は「愛する人を失った哀しみを乗り越えていくドラマ」であると語っているし、一昨年から身近な人たちをたくさん亡くした秋元順子自身も「歌うことでその哀しみを包み込んでしまう」というように、涙が枯れるまで歌って哀しみの幕を下ろそうと前へと向かう歌である。
人は歳を重ねるに従って幾つもの別れを体験し、辛くて哀しいことをたくさん経験する。それを秋元は無理に表そうとせずに「サラリと歌うように心がけている」のが、たくさんの女性を惹きつけるこの歌の魅力なのだろう。
「悲しみすぎないで自然体で歌うほうが、聴く人に重ぐるしく感じさせない」
長年の経験から秋元は指摘する。
♪ あなたがいなくても 季節は移りゆく ~ 「哀しみのコンチェルト」の1番に出てくる一節である。低く太い秋元の声が無情な移ろいを描写する。寂しい、切ないと言葉にはしないが「初めて聴いて涙が止まらなかった」との声も聞かれる。
とりわけ大ヒットした「愛のままで・・・」は定番曲である。「哀しみのコンチェルト」は、それに迫る風を感じさせる。5月21日付けのオリコン演歌チャートでは初登場3位にランキングされる人気ぶりで、2週目も11位と「ヒットの予感をさせる作品」らしさを感じさせている。
彼女にとってエポックメイキングとなった「愛のままで・・・」から10年。
「大ブレイクした時に〈どう着地するかだよ〉と、突然のヒットに私の心を心配してアドバイスをくれた娘は40歳の2児の母親になっていますが、今は健康に気を付けて皆さんに喜んで聴いてもらえるように歌を続けて、と優しいことを言ってくれてます」
そんな言葉を背に、これから暫くは日本中を駆け巡って新曲のキャンペーンだという。6月21日には東京へ戻って、コンサート「秋元順子 ~ コウトウ・ラブ・ストーリー ~ 」を、同江東区・ティアラこうとうで開く。
秋元はハワイアンからジャズ、カンツォーネ、ラテンなどジャンルを問わず幅広く活動しているが、シャンソンでもその実力ぶりを発揮する。7月7日には、東京・NHKホールで開かれるシャンソンの祭典「パリ祭」に出演するし、同12日には横浜のホテルニューグランドで「パリ祭 WEEK 秋元順子シャンソンを歌う」にも出演する。
[秋元順子 オフィシャルサイト]
http://www.apc-brain.co.jp/aj/
[秋元順子 キングレコード]
http://www.kingrecords.co.jp/cs/artist/artist.aspx?artist=20106