可愛ゆみは、2014年に星乃由美の芸名で、キングレコードから「風の下ツ道」で歌手デビューしている。16年にはアスタエンタテインメントに移って「冬悲恋」を出し、この年から作曲家西つよしに師事している。
発表会のオープニングで可愛は、キラキラと光るドレスで登場。「緊張し過ぎていますが、この衣装で気合いを入れて歌います」 と、デビュー曲の「風の下ツ道」とセカンドシングル「冬悲恋」でウォーミングアップ。
2部はしっとりと和服姿。まずは西つよしの作品の「娘馬子唄」(大石まどか)などカバー曲をメドレーで披露し、「下北ひとり」の舞台である青森県を代表する山、岩木山が歌詞に出てくる「帰ってこいよ」(松村和子)も歌った。
「下北ひとり」は、青森・陸奥湾に沿って野辺地駅から下北駅まで走るJR大湊線で行く、恋忘れの旅歌なのである。悲しい旅だけに季節は恐らく冬で、どこまで行っても1人である寂しさを感じずにはいられないマイナー調の演歌。
これを聴いた演歌ファンは「ぜひ覚えて歌いたいです」とも。
可愛は奈良県桜井市の出身。この奈良県はテイチク発祥の地でもある。発表会に出席したテイチクエンタテインメントの小松永枝プロデューサーは「このような土地でありながら、県出身の歌手は可愛が初めてなのでは」と、それだけにヒットへ向けての意気込みは強い。
これを作曲した西つよしは、作曲家としての活動のほか、西つよし&SHIGEZO BANDを結成してライブ活動を行なっている。この日は、そのオリジナル曲「ただ、会いたい~母へ~」(日本クラウン)をはじめ山川豊に提供した「柳川慕情」や「北のゆきこ」(天城実)を聴かせた。
自らCDデビューした作品を披露する西つよし
この日はまた、メンバーの1人が可愛の友人という、沖縄を代表する創作太鼓集団、琉球國祭り太鼓の奈良支部の14人によるダイナミックな演舞が披露された。
西は「可愛の歌の魅力は、高い声と裏返る綺麗な声です。今作を機に歌謡曲じゃなく、演歌路線への変更を求めました。精神的には細いところがあいますが、今の歌唱を続けるようにとアドバイスしています」と話した。
また作詞の鈴木は「この歌は恋を失った女性が、思い出を捨てに北を旅する物語です。野辺地から各駅停車の列車で可愛さん自身が旅をするような思いで書きました」と、歌への想いを説明した。
可愛はそれに応えて「デビューから5年間、昇れなかった高い階段に西先生に押し上げてもらいました。後は私の努力次第です」と、新曲にかける意欲を見せていた。
【インタビュー】 可愛ゆみ、悲恋演歌に挑戦 情感を込め、全国へ伝えるように
◆歌手デビュー5年目の星乃由美が芸名を可愛ゆみに改め、テイチクエンタテインメントから「下北ひとり」を出している。デビューから数えると3枚目のシングルになる。高校生までポップスを歌って勉強してきた彼女であるが、今作ではマイナー調のしっとりとした悲恋演歌に挑戦している。
可愛ゆみ。「下北ひとり」を作曲した西つよしが命名した。
星乃時代には関西を中心にカラオケ発表会のゲストや、色んなイベントで歌っていた。これからは「全国の人に歌を聴いてもらえるように、歌っていくのが目標です」と、ステップアップした意気込みをみせる。
母親が奈良県桜井市でカラオケ喫茶店を営む。その影響を受けて「20歳になった頃から、カラオケの先生について演歌を習い始めました。ポップスにはない、こぶしや唸りなど表現の仕方が格好いいと思いました」と可愛。
天童よしみのようなはり歌が好きで、初めてカラオケ大会に出た時に歌ったのも「パワフルな天童さんの歌で挑戦しました」が、「下北ひとり」はしっとりと歌い上げるマイナーな曲調である。
この曲を書いた作曲家、西つよしは「可愛にとっては挑戦」と、情感を大切にした歌唱を求める。
可愛も「張って歌うところもあって、歌いがいがあります。カラオケ・演歌好きな人には気に入ってもらえるでしょう」と話している。
可愛と西との出会いは3年前になる。
元々、西の作品が好きで歌っていたが、門下生だった先輩歌手から紹介されたのがきっかけだった。以来、月1回のレッスンを受けてきた。
「ヴィブラートが入ることで、音程が悪くなるクセがありましたが、それを修正するように厳しく指導されました。さらには情感を入れて、言葉が伝わるように、と歌唱を徹底的に叩き込まれなした」
5年前に歌手デビューしてずっと衣装はドレスだった。今回、着物変更した。「目下、着付けの勉強中なんですよ」とも。
[可愛ゆみ テイチクエンタテインメント]
http://www.teichiku.co.jp/teichiku/artist/kawai/