◆大阪の演歌・歌謡曲の灯は消えていなかった。2015年6月2日、大阪・中之島のフェスティバルホールで開かれた「第1回大阪歌謡フェスティバル」は、橋幸夫、天童よしみなどベテランから若手の山内惠介、地元大阪の通天閣から道頓堀に活躍の場を移した叶麗子などが出演して行われたが、2700席ある会場は昼夜2回の公演ともに満員。主催者で全国でカラオケ店を展開するレインボーエンタープライズ(奈良県)の琴平能弘社長はステージでガッツポーズ示して第2回目の開催へ意欲を示した。



出演者全員が勢揃い

かつては「演歌は大阪から」などと言われたが、ファン層の高齢化やCDショップの減少などもあって、往時の勢いは見られなくなっている。第1回大阪歌謡フェスティバルは、大阪の演歌の灯を守れと、去年12月、レインボーエンタープライズなどが道頓堀の小さなライブハウスで始めた演歌ライブ・道頓堀SUPER歌謡劇場が中心となって開かれた。

出演者も、より多くの演歌・歌謡曲ファンに楽しんでもらおうと、今年デビュー55年目を迎えている橋幸夫(ビクターエンタテインメント)をはじめ大阪出身で同43年目の天童よしみ(テイチクエンタテインメント)、フェスティバルホールには甲子園に出場した高校球児時代に組合わせ抽選した想い出があるという山本譲二(同)、天童同様に大阪出身の神野美伽(キングレコード)、この日の出演者で最も若いデビュー15年目の山内惠介(ビクターエンタテインメント)といった実力派を揃えた。


デビュー55年の橋(中央)をはじめ天童、山本、神野、山内の実力派が顔を揃えた

道頓堀SUPER歌謡劇場からは、かつては通天閣の歌姫といわれ今は道頓堀に活動の場を変えている叶麗子(徳間ジャパンコミュニケーションズ)、天童の弟子を経てメジャーデビューしたおおい大輔(テイチクエンタテインメント)林よしこ(徳間ジャパンコミュニケーションズ)のレギュラーメンバーが顔を揃えた。
同歌謡劇場で一般公募して道頓堀開削400周年記念曲「道頓さん」を歌う歌謡女子グループ・大阪☆歌謡女子団の8人が記念曲を初披露した。


レインボー姉妹(叶麗子、林よしこ)が華麗にデビュー

同歌謡フェスティバルの演出を担当した作曲家で作詞家の中村泰士は「作曲家になって50年近くなりますが歌謡曲が大好きです。2時間半を存分に楽しんで下さい」と冒頭あいさつした。

この日の主役の橋は17歳で歌手デビューして今年で55年目。新しくなったフェスティバルホールで歌うのは初めて。「55年のいい想い出になります」と話していた。
デビュー曲の「潮来笠」から「江梨子」「恋のメキシカンロック」「霧氷」など代表曲を歌い、後半では大映映画で市川雷蔵と共演した歌謡股旅映画「おけさ唄えば」の同名主題曲をはじめ、「沓掛時次郎」「中山七里」といった市川主演映画の主題曲など懐かしい股旅歌謡をメドレーで披露した。

主催者の琴平社長は橋の大ファンでステージで花束を贈り「若い頃には歌手を目指していましたが、橋さんがデビューされてその歌の上手さに衝撃を受けて歌手を諦めました」とエピソードを語っていた。

天童、山本、神野、山内もそれぞれ新曲などを歌った。天童はこの催しが道頓堀開削四百周年記念と銘打っていたこともあって、ヒット曲「道頓堀(とんぼり)人情」を歌い、客席からは大きな拍手が送られていた。


大阪☆歌謡女子団も初お披露目

この日、もうひとつの目玉は道頓堀SUPER歌謡劇場から誕生した大阪☆歌謡女子団レインボー姉妹のお披露目。歌謡女子団は15歳から27歳まで8人の女性コーラスグループ。道頓堀400年の記念曲「道頓さん」をダンスを交えて初披露した。一方のレインボー姉妹は叶麗子と林よしこのコンビ。「恋する女は七色仮面」を乙姫のような虹色の衣装に身をまとって歌った。
「道頓さん」をメインに、「恋する-」をカップリングとして収録したCDを同日から発売している。


道頓堀SUPER歌謡劇場のレギュラーメンバーも勢揃いした

ラストは出演者全員がステージに揃って中村泰士の指揮で、橋の代表曲「いつでも夢を」を会場の観客とともに合唱。橋は「歌には聴く人それぞれに想い出があり、共通するところがあるはずです。これからも歌い手全員に声援を送って下さい」と呼びかけていた。