石原詢子、10年間の封印を解いたしあわせ演歌「五島椿」 五島の島々の風を感じるデビュー35周年記念曲 大ヒットへと意欲 [インタビュー]
◆歌手石原詢子(ソニーミュージック)が初めて作詞・作曲して2023年5月24日に発売した歌手デビュー35周年記念シングル「五島椿」(作詞 / 作曲・いとう冨士子、編曲・若草恵)が話題である。石原自らが、いとう冨士子のペンネームで、思い入れのある長崎県五島を舞台に詞と曲を書いた。10年の封印を解いたしあわせ演歌というのも人々の興味をそそる。
写真・明るいしあわせ演歌「五島椿」が話題の石原詢子
去年暮にレコード会社のプロデューサーから「歌を書いてみませんか」と、話をもらったのがきっかけだった。
詞や曲を書くのが好きで日頃から書き溜めていた石原であったが、約1ヶ月半をかけて新たな作品4作をレコード会社へ提出した。もし採用されるなら、明るくゆったりと流れるメロディーの「五島椿」だろうと思っていたというが、その予想は見事に的中。メイン曲になった。
カップリング曲に採用された「流れる雲に」(同)も、同時に作った作品で、一途な恋心を歌っている。ファンも待ってましたとばかりに、発売直後のオリコンチャートでは5位と好スタートを切った。
■希望の花、五島椿
35周年記念曲の舞台に五島を選んだ理由はー。最も気になった点であった。まず、そこから聞いてみた。
石原と五島の関わりは、なんと20年前に遡るという。
かつて仕事で訪ねた五島の島々には「コバルトブルーの海、緑に包まれた島の景色、異国情緒いっぱいの教会、そしてゆっくりと流れる島時間があった」と、石原はその魅力にいっぺんに惹かれてしまった。
時は流れて去年、デビュー35周年記念曲の話をもらった石原は、ひと時も記憶から消えたことがなかったあの美しい島を舞台にして書いてみたい、と迷わずに心に決めた。
ところが頭の中にある島のイメージはすべて20年前のものである。それだけで書くのは「嘘っぽくなる」と、すぐに飛行機のチケットを手配して五島へ飛んだ。今の五島を見て感じるためであった。
島ではたくさんの人に会って、島に関するあらゆる話を聞いた。するとなぜか島の印象は、今までの美しいだけのものとは全く違っていたのである。
五島は島のあちこちに咲く椿が有名である。美しいその花は島の象徴でもあるが、現実にはただ美しいだけではなかった。
「椿で様々なものが生産されており、想像以上に生活に密着していました。たとえば椿油や化粧品などは勿論のこと、人々の夢も紡いでいたんです。さらに椿は〈強葉木〉とも書きますが、これは文字通り風にも強く防風林として島民の生活を守ってくれていることからも、その意味は分かります」
厳しい自然の中に生きる人々、それを支えるのが五島椿なのである。それは島民の夢を叶えてくれる力を持っていた。
これを詞に盛り込まなければ、真に五島の歌にはならない。取材で彼女はそう感じている。
さらに島のもうひとつの象徴でもあるのが、福江島の最西端にある大瀬埼灯台である。この白い灯台を抜きにしても、今回の歌は書けない、と考えた。
1番の歌詞の冒頭には椿ではなく、この「白い灯台」を入れた。それに続けて「島の風」として、五島を表したのである。
■10年ぶりのしあわせ演歌
「五島椿」は聴く人たちや歌う人々に幸せを運んでくれるーそんな歌である。
石原詢子と言えば、酒にすがる悲しい女心を歌った「みれん酒」(1999)以降、悲しさを背負う女性ばかりを歌ってきた。まるで自身の代名詞かのように、しあわせ演歌を封印してきた。
ところが今作は「今までのコロナ騒動で、ストレスも溜まりがちであった人たちが、優しい気持ちになれるように作った」(石原)といい、35周年を祝うのにも相応しい、明るく幸せ感いっぱいの演歌に仕上げた。
■10年ぶりに封印を解いたしあわせ演歌が好調
「ここらで幸せな気分になれる演歌を歌ってみたかったんです。ですから柔らかくて、ふわぁ〜とした感じの作品にしました。自分の声質にも合っているんでしょうか」
これを聴いた人たちの反応も良い。五島の人たちの間でも「いっぱい宣伝しますよ、と新曲の発売を喜んでもらっています」と、歓迎ムードで盛り上がっている。
これを受けて新曲を発売して間もない5月のある日、長崎県五島市の「五島市ふるさと大使」と、上五島町の「新上五島町観光物産大使」への就任が決まった。6月13日には五島市役所で五島市ふるさと大使の委嘱式も行われ、石原はそれに出席した。
委嘱式に出るための五島への今回の旅は2泊3日であった。ところが「1週間もいたように思えるような楽しくて充実した内容でした」と、3度目の島への旅を満喫した。
「8月にもまた2泊3日の五島の旅を予定していますが、来年、椿の花が咲く頃には島でコンサートを開きたいです」
石原の「五島椿」にかける夢はどんどんとふくらんでいるようである。
■果てしないチャレンジ
35周年を迎えた今年、石原が目指すところはなんなのであろうか。40周年に向けてのステップの年である事には違いないが、取り分け「新しい楽曲をはじめ、今までにやった事のないものへとチャレンジしていきたい」と意欲をみせる。
今作「五島椿」のシングルにはカップリング曲に2曲を収録しているが、そのうちの1曲「予感」(作詞・岡田冨美子、作曲 / 編曲・川口真)は去年、自身初の配信シングルとしてリリースしたもので、このところ増えている若い年代のファン層に支持を増やしている。
これも新しい取り組みのひとつである。
写真・大ヒットの1曲にと期待を膨らませる
このところ低迷が続く演歌界ではあるが、こうしたチャレンジの中から大ヒットへとつながる可能性は少なくはない。石原は「それが演歌の活性化になるでしょうし、その大ヒットが私であったらいいなぁ、と思っています」と、35周年にかける夢を語った。
※写真・記事の無断使用はお断りします。
[石原詢子 オフィシャルサイト]
https://junko-ishihara.com/
[石原詢子 ソニーミュージック]
https://www.sonymusic.co.jp/artist/JunkoIshihara/
写真・明るいしあわせ演歌「五島椿」が話題の石原詢子
去年暮にレコード会社のプロデューサーから「歌を書いてみませんか」と、話をもらったのがきっかけだった。
詞や曲を書くのが好きで日頃から書き溜めていた石原であったが、約1ヶ月半をかけて新たな作品4作をレコード会社へ提出した。もし採用されるなら、明るくゆったりと流れるメロディーの「五島椿」だろうと思っていたというが、その予想は見事に的中。メイン曲になった。
カップリング曲に採用された「流れる雲に」(同)も、同時に作った作品で、一途な恋心を歌っている。ファンも待ってましたとばかりに、発売直後のオリコンチャートでは5位と好スタートを切った。
■希望の花、五島椿
35周年記念曲の舞台に五島を選んだ理由はー。最も気になった点であった。まず、そこから聞いてみた。
石原と五島の関わりは、なんと20年前に遡るという。
かつて仕事で訪ねた五島の島々には「コバルトブルーの海、緑に包まれた島の景色、異国情緒いっぱいの教会、そしてゆっくりと流れる島時間があった」と、石原はその魅力にいっぺんに惹かれてしまった。
時は流れて去年、デビュー35周年記念曲の話をもらった石原は、ひと時も記憶から消えたことがなかったあの美しい島を舞台にして書いてみたい、と迷わずに心に決めた。
ところが頭の中にある島のイメージはすべて20年前のものである。それだけで書くのは「嘘っぽくなる」と、すぐに飛行機のチケットを手配して五島へ飛んだ。今の五島を見て感じるためであった。
島ではたくさんの人に会って、島に関するあらゆる話を聞いた。するとなぜか島の印象は、今までの美しいだけのものとは全く違っていたのである。
五島は島のあちこちに咲く椿が有名である。美しいその花は島の象徴でもあるが、現実にはただ美しいだけではなかった。
「椿で様々なものが生産されており、想像以上に生活に密着していました。たとえば椿油や化粧品などは勿論のこと、人々の夢も紡いでいたんです。さらに椿は〈強葉木〉とも書きますが、これは文字通り風にも強く防風林として島民の生活を守ってくれていることからも、その意味は分かります」
厳しい自然の中に生きる人々、それを支えるのが五島椿なのである。それは島民の夢を叶えてくれる力を持っていた。
これを詞に盛り込まなければ、真に五島の歌にはならない。取材で彼女はそう感じている。
さらに島のもうひとつの象徴でもあるのが、福江島の最西端にある大瀬埼灯台である。この白い灯台を抜きにしても、今回の歌は書けない、と考えた。
1番の歌詞の冒頭には椿ではなく、この「白い灯台」を入れた。それに続けて「島の風」として、五島を表したのである。
■10年ぶりのしあわせ演歌
「五島椿」は聴く人たちや歌う人々に幸せを運んでくれるーそんな歌である。
石原詢子と言えば、酒にすがる悲しい女心を歌った「みれん酒」(1999)以降、悲しさを背負う女性ばかりを歌ってきた。まるで自身の代名詞かのように、しあわせ演歌を封印してきた。
ところが今作は「今までのコロナ騒動で、ストレスも溜まりがちであった人たちが、優しい気持ちになれるように作った」(石原)といい、35周年を祝うのにも相応しい、明るく幸せ感いっぱいの演歌に仕上げた。
■10年ぶりに封印を解いたしあわせ演歌が好調
「ここらで幸せな気分になれる演歌を歌ってみたかったんです。ですから柔らかくて、ふわぁ〜とした感じの作品にしました。自分の声質にも合っているんでしょうか」
これを聴いた人たちの反応も良い。五島の人たちの間でも「いっぱい宣伝しますよ、と新曲の発売を喜んでもらっています」と、歓迎ムードで盛り上がっている。
これを受けて新曲を発売して間もない5月のある日、長崎県五島市の「五島市ふるさと大使」と、上五島町の「新上五島町観光物産大使」への就任が決まった。6月13日には五島市役所で五島市ふるさと大使の委嘱式も行われ、石原はそれに出席した。
委嘱式に出るための五島への今回の旅は2泊3日であった。ところが「1週間もいたように思えるような楽しくて充実した内容でした」と、3度目の島への旅を満喫した。
「8月にもまた2泊3日の五島の旅を予定していますが、来年、椿の花が咲く頃には島でコンサートを開きたいです」
石原の「五島椿」にかける夢はどんどんとふくらんでいるようである。
■果てしないチャレンジ
35周年を迎えた今年、石原が目指すところはなんなのであろうか。40周年に向けてのステップの年である事には違いないが、取り分け「新しい楽曲をはじめ、今までにやった事のないものへとチャレンジしていきたい」と意欲をみせる。
今作「五島椿」のシングルにはカップリング曲に2曲を収録しているが、そのうちの1曲「予感」(作詞・岡田冨美子、作曲 / 編曲・川口真)は去年、自身初の配信シングルとしてリリースしたもので、このところ増えている若い年代のファン層に支持を増やしている。
これも新しい取り組みのひとつである。
写真・大ヒットの1曲にと期待を膨らませる
このところ低迷が続く演歌界ではあるが、こうしたチャレンジの中から大ヒットへとつながる可能性は少なくはない。石原は「それが演歌の活性化になるでしょうし、その大ヒットが私であったらいいなぁ、と思っています」と、35周年にかける夢を語った。
※写真・記事の無断使用はお断りします。
[石原詢子 オフィシャルサイト]
https://junko-ishihara.com/
[石原詢子 ソニーミュージック]
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