小桜舞子（テイチクエンタテインメント） ２月発売「人世舟」 オリコン５位スタート 演歌のアイドルが歌う女の悲恋物語

◆人生を川にたとえた悲恋の歌だけども「明るく歌っています」と小桜舞子は、2014年２月19日に出した新曲「人世舟（ひとよぶね）」（作詞・仁井谷俊也、作曲・岡千秋、編曲・前田俊明）をそのように話す。主人公の女性は男性との想い出を胸に明日に向かって生きて行く、といった希望の歌だからだ。これを書いた仁井谷も小桜に「３番の歌詞にある ♪ 微笑みを・・・　忘れずに ～ は、舞子ちゃんのことをイメージして書いたんだよ」と言っている。その言葉通りに彼女の微笑みが、２月27日付けのオリコン誌の演歌チャートで５位と、ＣＤの好調な売り上げにつなげている。







　「人世舟」は、仁井谷が小桜のために書いたという詞をテイチクの太田ディレクターが岡に作曲を依頼して出来あがった。仁井谷、岡、前田の＜３人揃い踏み＞は、11年６月の「おんなの夜汽車」以来だという。
　「この楽曲は私のためのオートクチュールなんです。背伸びをして歌わなくても、身体にピッタリと合っています」

　小桜が歌う最近の作品はこうした＜特注仕立て服＞のようだ。今回のように、売れっ子の作詞家が彼女のためにと作品を書いて持ち込んでくることがある。そんな不思議な魅力を彼女は持っている。あの故・木下龍太郎もそうだった。木下が07（平成19）年に書き、小桜が歌った「堀部安兵衛の妻」もそのようにして出来た作品だという。
　木下は赤穂浪士を支えた女たちの作品で小桜ためにアルバムを作りたいと構想を練っていたが、わずか２作で未完に終わっている。



　「人世舟」の主人公もそうだが、彼女が歌う作品は一途で健気な女性の世界を描いたものが多い。デビュー曲の「恋する城下町」（01年）から続いていた明るさいっぱいの歌が、10（平成22）年の作品「こころ川」の前後あたりから急速に変化する。
　「もらった歌をレコーディングまでに良く理解し、鼻歌で歌える程度にします。そして歌の一番のファンになることが、その時までに私がすることだと思っています。こうして歌うことで、面白く味のある歌が歌えます」

　オートクチュールの仕上げはレコーディングである。その場では小桜は自分で考えた＜味のある歌い方＞をスタッフに話して聴かせる。仁井谷も岡も前田も、ディレクターの太田と一緒になって、あれを付け足そう、これを削ろうと音楽好きたちの議論は白熱して、まるで部活のようでもある。
総合指揮は太田である。
　「衣装の着物、髪型、ジャケット写真、楽曲の内容すべてがディレクターによって特別に仕立てられるようになりました」

夢のような「夢コンサート」

　人は人との出会いによって大きく成長する。小桜の場合は小林旭を中心に全国で年間200公演も行って、今まで50万人を動員している「夢コンサート」（主催・夢グループ）との出会いが大きい。なにしろこのコンサートには小林を筆頭に錚々たる顔ぶれのスター歌手たちが出演するから、若い小桜にとって勉強にならないはずがない。

　小桜は昨年10月から、すでに30公演にも出演している。








　「猛者揃いの水槽の中に金魚が一匹放たれたような感じです。それだから逆に目立ってしまい、うれしいことに先輩の皆さんから可愛がっていただいています。北原ミレイさんからは＜歌うだけじゃなく、好きなことを何かやりなさい＞とアドバイスしてもらいました」

　舞台では歌うよりも演じることを教えられたのも、たくさんの先輩のステージをソデから見続けて学んだという。



　リーダーの小林を唯一＜アキラ＞と呼ぶことが出来た島倉千代子とは昨年10月に共演できる予定だったが、叶わずに終わってしまった。実現していたら、どんな話が聴けたのだろうか。
　その残念な気持ちを胸に、今回の「人世舟」のキャンペーンでは「東京だよ おっ母さん」も歌って、たくさんの拍手をもらっていた。


　毎回新曲が出るたびにＣＤ購入特典としてテイチクは小桜の写真入りカラーうちわを制作している。今回は赤、水色、黄色など10色も用意したという。まるでアイドル歌手のような販促グッズであるが、これには「いつまでも演歌のアイドルでいてほしい」といった込められているという。

［小桜舞子　オフィシャルサイト］
http://www.kozakuramaiko.com/index.html
［小桜舞子　テイチクエンタテインメント］
http://www.teichiku.co.jp/teichiku/artist/kozakura/